研究の背景: 日欧米GLにおける「扱い方」の違い 「妊産婦の蘇生」は、日本と海外でガイドライン(GL)上の位置付けが異なる。海外の代表的なGLである欧州蘇生協議会(European Resuscitation Council;ERC)および米国心臓協会(American Heart Association;AHA)の2025年版GL(ERC GL2025、AHA GL2025)では、「蘇生における特殊な状況」の1つとして扱われている。 一方、日本蘇生協議会(Japanese Resuscitation Council;JRC)蘇生GLでは、妊産婦の心肺蘇生の充実を目的として、2020年版で「妊産婦の蘇生」が独立した章として新設された。JRC蘇生GL2025オンライン版(パブリックコメント用)においても、「妊産婦の蘇生」として約30ページの内容が掲載されている(書籍版は2026年3月に刊行予定)。 本稿では、ERC GL2025およびAHA GL2025の「蘇生における特殊な状況」(Resuscitation 2025; 215: 110753、Circulation 2025; 152: S578-672)の中から、「妊産婦の蘇生」についての要点を整理する。