焦げを食べるとがんになる?
2011年12月20日 12:00
料理の焦げた部分を食べ過ぎるとがんになるって聞いたのですが、本当ですか? 焼き魚が好きなので心配です。
みき(女性 50代)
本当ですが、すぐにがんになることはありません。
焦げた部分には発がん物質が含まれていますので、がんになるのは本当です。ただ、非常に少ない量なので、すぐにがんになることはありません。
肉や魚のタンパク質(アミノ酸)を長時間高熱で処理すると、発がん性を有する物質に変化します。特に、焼き魚の皮の焦げからは数種類の発がん物質が見つかっています。しかし、含まれている量は非常に少ないのです。
焦げた部分を体重の4倍以上大量に摂取しなければ、がんは発生しません。これは、毎日1トン以上の焼き魚を100年間食べ続けるほどの量に相当します。そのため、日常食べている程度の焼き魚ではがんはできないと考えられています。
とはいえ、発がん物質は蓄積される恐れがありますし、今までの研究から焦げを多く取るとがん発生の危険性が高くなることは指摘されています。神経質になることはありませんが、焦げた部分を好んで食べることは避けましょう。
中野 里美(なかの さとみ)
1990年、東京女子医科大学卒業後、慶應義塾大学医学部内科学教室に入局。都立広尾病院、国立病院機構栃木病院などを経て、2007年から三菱UFJニコス株式会社診療所勤務。同社において初代統括産業医として、社員の健康管理を行っている。日本内科学会総合内科専門医、日本糖尿病学会専門医、日本医師会認定産業医、労働衛生コンサルタント。