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有酸素運動と筋トレ,認知症予防に効果があるのは?

 2012年05月01日 13:57

 運動は、エネルギーを燃焼する有酸素運動と基礎代謝を上げる筋肉トレーニング(筋トレ)に大別され、行う順番によって効果が変わることが報告されている(関連記事)。今回は、この2つの運動のどちらが認知症予防に効果的か検討した研究結果について。カナダ・ブリティッシュコロンビア大学のLindsay S. Nagamatsu氏らは,認知症の前段階である軽度認知障害(MCI)を持つ高齢女性を対象に検討したところ、筋トレを行ったグループで認知機能の複数の項目などに改善が認められたと、4月23日付の米医学誌「Archives of Internal Medicine」(2012; 172: 666-668)に発表した。

有酸素運動で身体機能は改善

 Nagamatsu氏らは、MCIを持つ70~80歳の地域在住女性78人を、週2回,60分ずつのクラスの筋トレ群(28人),有酸素運動群(30人),バランストーン運動群(28人)に、ランダムに割り付けた。筋トレ群はウエートトレーニング,有酸素運動群は屋外でのウオーキング,バランストーン運動群はストレッチやバランス訓練で構成された。

 すべての行程を終えたのは、筋トレ群26人,有酸素運動群24人,バランストーン運動群27人。分析の結果,筋トレ群ではバランストーン運動群と比べ、認知機能の評価(Stroopテスト、連想記憶)が改善した。連想記憶の障害は、アルツハイマー病の初期段階に見られる状態という。

 機能的核磁気共鳴画像法(fMRI)を使った画像分析でも,筋トレ群では脳の3つの領域(右舌状回,後頭葉紡錘状回,右前頭極)で機能的変化が認められた。一方,有酸素運動群ではバランストーン運動群と比べ,平衡性,運動性、心血管能力が改善した。

 Nagamatsu氏らは「筋トレは認知症のリスクを持つ人々において、認知機能に関わる複数の領域に利益をもたらす」と結論。各運動の達成率は54~60%と低いことから,筋トレによる効果が控えめに評価されている可能性があるとした。

(編集部)

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