"目の日焼け"にご用心! 気づかず白内障になることも
2013年05月20日 12:00
暑い季節になると肌の紫外線対策が重要となるが、目も日焼けすることをご存じだろうか。肌よりもずっと影響を受けやすいのに、肌のように黒く変化しないことから、日常生活でどれくらい浴びているのか判断がつかない。そのため、気づかないうちに白内障などの病気になってしまう可能性もあるという。金沢医科大学眼科の佐々木洋主任教授は「皮膚と比べると、目への紫外線の影響は冬や朝夕も大きく、日常的に浴びていると角結膜病変や白内障、翼状片などの病気を引き起こします。季節や時間にかかわらず、サングラスや紫外線カットのコンタクトレンズなどで紫外線対策をしてください」と助言する。
帽子だけでは半数以上の紫外線を防げない
紫外線の影響で真っ先に連想されるのが日焼けだ。日焼け対策は美容だけでなく、皮膚がんを予防する上でも重要だが、水晶体(レンズ)が濁って視力が低下する白内障も紫外線の影響でなりやすいといわれている。佐々木主任教授によると、紫外線が弱いアイスランドに比べ、紫外線が強いシンガポールや中国・海南省では白内障の有病率が2倍以上、日本国内でも沖縄県で多くなる。このほか、結膜充血、紫外線角膜炎(雪眼炎)、翼状片、瞼裂斑(けんれつはん)、老眼などが紫外線によって引き起こされるという。
そこで重要となるのが紫外線を浴びないことだが、佐々木主任教授が各対策を比べた結果、目に対する紫外線カットの割合は下記の通りとなった。
通常のサングラスは、耳側から差し込む紫外線や反射した光が鼻側の水晶体に届いてしまう「コロネオ現象」が起きてしまう。そのため、金沢医科大とメーカーが共同で日本人の顔にフィットする形の大きなサングラス「メニィーナ」を開発している。また、紫外線カットのコンタクトレンズは角膜全体をカバーするため、紫外線予防としては最適のようだ。佐々木主任教授は「帽子をかぶり、紫外線カットのコンタクトレンズを装着した上でサングラスをかけると、最高の紫外線対策になるでしょう」と話す。
目に特化した「UVインデックス」を開発
では、肌と同じように、目の紫外線対策も昼間の外出時にだけすればよいのか。天気予報などでは「UVインデックス」という指数が使われており、安心して戸外で過ごせる1~2(弱い)から、日中の外出を極力控えるよう勧める11+(極端に強い)までで表される。
ただ、UVインデックスが表しているのはあくまで肌への影響の度合いで、昼や夏に注意を喚起する場合が多い。ところが、佐々木主任教授が目への影響を調べた結果、昼や夏はもちろん、UVインデックスが低い冬や朝夕も比較的高いことが分かった。また、顔は若干下を向いているため、目は上空からだけでなく地表に反射した紫外線の影響も受けやすい。雪面や海面はもちろん、白く舗装された道路などは紫外線を反射しやすいため、春スキーや釣り、サーフィンを楽しむ際だけでなく、都会に住む人は日常的な対策が必要だ。
こうしたことから佐々木主任教授らは、目に特化したUVインデックス「UV-i指数」を開発。目の紫外線対策の啓発に活用するという。同主任教授は「目に浴びる紫外線の量は、皮膚の10分の1から5分の1程度。しかし、目は粘膜なので少ない紫外線量でも有害になります。紫外線による正しい知識を持って、子供の頃からの対策を常識化してほしい」と訴えている。
(小島 領平)