手術を受けるなら月曜日? 曜日で異なる死亡リスク
2013年06月03日 11:40
平日に緊急入院した患者と比べ、週末に入院した患者の死亡率などが高くなる「週末効果(weekend effect)」が、いくつかの研究から報告されている。そんな中、平日の中でも曜日によって手術を受けた患者の死亡率が異なる「平日効果(weekday effect)」があることを、英インペリアル・カレッジ・ロンドン公衆衛生学部のP. Aylin氏らが、5月28日発行の英医学誌「BMJ」(2013; 346: f2424)に発表した。月曜日に手術を受けた場合に比べ、週末に向かうほど死亡リスクが上昇していたという。
金曜44%増、土日82%増
Aylin氏らは、2008~11年に英国の公立病院で手術を受けた20歳以上の413万3,346人を対象に、施行された曜日と術後30日以内の全死亡(院内および退院後)の関係を検討した。30日以内に死亡したのは2万7,582人だった。
手術を受けた曜日による死亡リスクを、月曜日(手術実施75万9,969人)を基準に検討したところ、火曜日が7%増に対して金曜日は44%増、土曜・日曜日は82%増と、週末に向かうほど上昇していることが分かった。
月曜日に手術を受けた場合を基準とした死亡リスク
- 火曜日 1.07倍(85万2,438人)
- 水曜日 1.15倍(83万6,623人)
- 木曜日 1.21倍(82万8,252人)
- 金曜日 1.44倍(66万9,184人)
- 土曜・日曜日 1.82倍(18万6,880人)
※カッコ内の数字は手術を受けた人数
死亡リスク3倍になる術式も
そのうち、死亡リスクが特に高い5つの術式(食道・胃切除術、直腸・結腸切除術、冠動脈バイパス術、腹部大動脈瘤に対するステントグラフト術、肺切除術)に限定したところ、腹部大動脈瘤に対するステントグラフト術以外の4術式で、週末に向かうほどリスクが上昇。土曜・日曜日は月曜日の2~3倍になっていた。
一方、死亡リスクが低い術式(人工股関節・膝関節置換術、鼠径=そけい=ヘルニア手術、静脈瘤=りゅう=抜去術または結紮=けっさつ=術、扁桃=へんとう=切除、大腿=だいたい=またはそれ以外のヘルニア手術)では、「平日効果」が認められなかったという。
「平日効果」の要因は何か。Aylin氏らはその理由として、病気と診断されてから手術を受けるまでの時間が平均的に長かったことを挙げているが、関連を説明しきれていない。また、死亡リスクがより高かった部位の手術が、少ないながらも週末に施行された可能性も疑われたが、関連性は見いだせなかった。
(編集部)