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野球少年の肘を守れ! セルフチェックで早期発見を

 2014年04月14日 10:30

 少年野球は人気スポーツの一つだが、成長期の体に大きな負担をかけることがある。特に頻度が高いのが肘の障害だ。将来に後遺症残さないためには、その早期発見・早期治療が大切となる。京都府立医科大学大学院医学研究科の琴浦義浩氏(機能制御・再生医学)は、東京都内で開かれた日本肘関節学会で、少年野球選手の肘の障害について講演。肘の障害の一つである上腕骨内側上顆(じょうか)障害、いわゆる"野球肘"をいち早く発見するには、選手自身のセルフチェックが有用である可能性について言及した。

3割が"野球肘"に

 野球肘は、長い間にわたって投球することで起こる肘関節障害の総称。上腕骨内側上顆障害は内側障害の一つで、一般的な"野球肘"はこの中に含まれる。一方、外側障害に分類される上腕骨小頭離断性骨軟骨炎は、比較的まれな障害だ。

 琴浦氏らが、2010~12年の検診に参加した京都府北部に住む7~12歳の小中学生877人(女子9人)について肘の障害を調べた結果、30.2%(264人)が上腕骨内側上顆障害と診断されたほか、上腕骨小頭離断性骨軟骨炎も1.5%(13人)で見られた。

 成長期の肘障害で最もその後の見通しが悪い上腕骨小頭離断性骨軟骨炎ほどではないが、約3割の選手がなる上腕骨内側上顆障害を放置していると、将来、肘の曲げ伸ばしに制限が出ることや、投球時の痛みが取れないケースも出てくる。 早く治したい、さらに、長く野球を楽しみたいのならば、早期発見と早期治療がとても大切だ。

3つのポイントをチェック

 琴浦氏らの検討では、上腕骨小頭離断性骨軟骨炎の全てを問診や理学所見(視診や触診など)だけで発見するのは難しいが、上腕骨内側上顆障害は選手自身によるセルフチェックでも見つけられる可能性があるとしている。セルフチェックの方法は、(1)肘を押して痛みがあるか、(2)左右の肘の曲げ伸ばしで左右差がないか、(3)肘をひねって内側にストレスをかけて痛みがでないか―の3点(図)。

 3点のどれかで異常が認められたら、ボールを投げるのを1週間休む。それでも治らない場合は野球肘の可能性があるため、整形外科を受診した方がよいという。

 琴浦氏は「私たちは年に1回、少年野球選手の検診をしていますが、病気の早期発見という意味では最低ラインの頻度と思っています。選手や監督、保護者を含めたみんなが障害についての知識を共有し、セルフチェックすることが習慣になれば、より早期の発見につながるのではないかと考えています」と述べている。

(小島 領平)

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