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勝間和代さん、ADHDについて語る「会計士向いてない」

 2016年08月12日 16:07

 忘れ物が多い、約束が守れない、片付けが苦手...こうしたことで悩んでいる人は、もしかしたらADHD(注意欠如・多動性障害、注意欠陥・多動性障害)かもしれない。子供のものと思われがちなADHDだが、大人になってから気づく人も少なくないという。そんな大人のADHDの啓発イベントが日本イーライリリーなどの共催で8月5日、東京都内で開かれ、経済評論家の勝間和代さんや書道家の武田双雲さんらが出席した。診断は受けていないもののADHDの疑いが強いという勝間さんは、約束を忘れる、1年中ケガをしているなど自身の"ADHDエピソード"を披露。かつて会計士として活動していたことについて、「全く向いておらず、決算書をなくしたことで会計士をやめる決意をした」と語った。

「新幹線のチケットはほぼなくす」

 ADHDといえば、授業中に座っていられない、順番を待てないといった多動性の症状を連想する人が多いのでは? 勝間さんの幼少期も例に漏れず、「45分間じっと座っていることがとにかく苦痛だった」そうだ。大人になると、こうした多動性は経験からなんとか押さえることができるが、逆に目立ってくるのが不注意だ。

 勝間さんは、子供の頃から自身をADHDと疑っていたわけではなく、大人になってから周囲の人々に指摘されて意識するようになったとのこと。さらに、ADHDのチェック項目を見てみると「自分の行動がそのまま書いてあった」。同じく"ADHD疑い例"の武田双雲さんも、1~2年前に周囲の人に指摘されてチェック項目を見たところ、ほとんどに当てはまっていたという。

 現在も続いている"ADHDエピソード"として勝間さんは、忘れ物するのは当たり前、約束は何度もリマインドされないと忘れる、食べこぼして服を汚すことがしばしば、いろんなものにつまずくのでケガがものすごく多く、新しいケガで整形外科に毎月のように通っている―などを紹介。また、新幹線のチケットはほぼなくすので、改札に入る直前に会社の人から渡され、入った直後に取り上げられるという。

 さらに、勝間さんは若くして公認会計士試験に合格し、会計士として活動していたが、「細かい計算や伝票をめくるなどが全く向いていなかった。揚げ句の果てに決算書をなくしたことで、これは向いていないと実感して別の仕事に移った」とのエピソードを披露した。

勝間さんと武田さんの対処法は"真逆"

 勝間さんと武田さん、ともにそれぞれの分野でトップランナーとして活躍している二人だが、症状への対処法は真逆。武田さんが苦手なこと排除して得意なことだけをできる環境にしているのに対し、勝間さんは苦手なことでもアプローチを変え、自分でもできる方法を探しているという。ただし、周囲にサポートしてもらっているという点は共通だ。

 共催したNPO法人「DDAC(発達障害を持つ大人の会)」代表でADHD当事者の広野ゆいさんは、「結婚して専業主婦になったが、家事が全くできない。夫から"一日何してたの?""オマエ何のために生きてんの?"と問い詰められ、自分でも"できないから言われている"と思っていた。夫のこの行為は暴力。でも、夫も当事者である私もADHDを理解していないため、これが暴力であると気づいていなかった」と自身の経験を紹介した上で、周囲のサポートを得るためにも、自身と周りがADHDについて知ることが大切と訴えた。

 また、同じく共催のNPO法人「えじそんくらぶ」代表でADHD当事者の高山恵子さんは、薬学部生時代に実験で塩酸と硫酸を入れ間違えるなどのエピソードを披露。ADHDと診断されたことで、自分の中にあった"謎"が全て解け、前向きに生きられるようになったという。さらに「ADHDに気づかずうつ病になり、その治療をしている過程でベースにADHDがあることが分かる、というケースもある」ことを紹介し、自分のADHDの特性を知った上で、自分に合ったストレスへの対処をしてほしいとした。

 ディスカッションの司会を務めた昭和大学精神医学の岩波明主任教授は、「これまで単なる怠け者、だらしないと言われていたが、ADHDと診断されることによって、その特性のせいなんだと理解し、明るくなる方もいる」とし、「ADHDの周知はまだまだできていない。多くの人に知ってもらうことは患者にとっても重要」と語った。

(小島領平)

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