近年、女性を中心にニーズが高まっている美容医療。合併症や後遺症に悩むケースも増えている。日本医科大付属病院(東京都文京区)で美容後遺症外来を担当する朝日林太郎医師は「ここ数年で受診患者数が増えています」と話す。 ▽十分な説明を受けて 美容医療による後遺症が増加する背景として、トラブルが起きた際の医師の対応力不足があるという。臨床研修を終了後、保険診療科を経験せず美容医療に進む若手医師が増える中、「合併症の知識や、手術の経験、技術が乏しい医師に、緊急時の適切な対応は難しい。対応の遅れが後遺症につながるケースも多い」。 相談内容も多様化している。「しわやたるみを改善する治療としてヒアルロン酸やボトックス注射、糸リフトなど『切らない治療』が人気です。手軽で安全性も高いと思われがちですが、後遺症が少ないとは限りません」。ヒアルロン酸注入の重大な副作用の一つが塞栓だ。「非常にまれですが、ヒアルロン酸が血管内に注入されて血管が詰まると、皮膚の広い範囲の壊死(えし)や失明に至ることもあります」 出血や重篤な感染症、窒息などにより死に至る可能性もゼロではない。「合併症や後遺症が起きた時に、どんな対応を取ってもらえるのか、必ず事前に医師の説明を受け、納得できなければ利用を控えることも大切です」 ▽誰に受けるかが肝心 施術を受ける前に後遺症などのリスクについて、医師から説明がなかったと話す人もいる。最近は海外で、ファッション感覚で美容手術を受ける人も増えているが「後遺症が出た場合、治療を受けられる医療機関が見つからないなど、新たな問題が生じています」 後遺症治療は施術を受けた施設で受けるのが基本。自費診療のため「美容医療はどこで、誰に受けるかがトラブル予防には重要です」 信頼できる医療機関を探すには、医師の卒業大学や年次などの経歴、手術件数などを公表しているか、治療のメリット・デメリットの両方を説明しているか、トラブルが起きた際に相談できる体制かどうかもポイントだという。 「美容医療を受ける際は、治療に伴うリスクを医師と共有した上で、アフターケアを含め慎重に選択しましょう。それでも後遺症が出てしまったら、一人で悩まず、大学病院など後遺症治療に対応する医療機関にご相談ください」と朝日医師は助言する。(メディカルトリビューン=時事) ◇ ◇ 日本医科大付属病院の所在地 〒113―8603 東京都文京区千駄木1の1の5 電話03(3822)2131(代)