国内では成人の5人に1人が慢性腎臓病とされ、血液透析の患者は約35万人に上る。人工透析には血液透析の他、自宅でできる腹膜透析があり、「おうちで透析」とも言われる。日本大医学部(東京都板橋区)腎臓高血圧内分泌内科の阿部雅紀主任教授に聞いた。 ▽自覚症状なく発見遅れも 腎臓は、血液をろ過して尿を作り、老廃物などを排出する他、体内の水分や塩分の調節、血圧の調整や造血に必要なホルモンを分泌する。腎臓の機能が衰えると、体内に尿毒素がたまるが、初期症状はほとんどない。何らかの腎臓の障害が3カ月以上続くと慢性腎臓病と診断され、むくみ、全身の倦怠(けんたい)感、食欲不振、夜間頻尿(3回以上)などが表れる。 老廃物をろ過する糸球体(しきゅうたい)は、加齢とともに徐々に壊れ、再生されないため腎臓機能が衰える。「中でも、糖尿病や高血圧症、脂質異常症の人は腎臓病になりやすいので、定期的な血液検査や尿検査が必要です」と阿部主任教授。 血液検査で腎臓のろ過機能の状態を表すGFR値が15以下になると、人工透析が必要となる。「尿検査で、悪化する前の腎臓病をチェックできます。泡立つ尿、血尿、夜間頻尿が見られたら病院を受診するとよいでしょう」 ▽高い満足度 腎機能の代替療法には、血液透析、腹膜透析、腎移植がある。血液透析は、血液をろ過装置に流して老廃物や水分を除き、再び体内に戻す。病院で週3回、1回約4時間行う。 一方、腹膜透析は、おなかの腹膜を利用する。腹部にカテーテルを取り付けて透析液を流し込むと、たまった老廃物などが透析液に染み出てくるので、これを排出する。 方法としては、日中に3~4回、毎回30分程度を患者自身が行うCAPD(連続携行式腹膜透析)と、夜間の睡眠中に機械で自動的に行うAPD(自動腹膜透析)があり、月に1~2回の通院となる。血液透析に比べ心臓への負担が少なく、生野菜や果物、コーヒーなどの食事制限も緩い。仕事や趣味と両立できるため、患者の満足度は非常に高いという。「血液透析は治療に合わせて生活を変えざるを得ません。腹膜透析の普及率は低いですが、メリットは大きいです」と阿部主任教授は話す。(メディカルトリビューン=時事) ◇ ◇ 日本大医学部付属板橋病院の所在地 〒173―8610 東京都板橋区大谷口上町30の1 電話03(3972)8111