認知処理療法の有効性を確認ーPTSDの心理療法

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 心的外傷後ストレス障害(PTSD)は、つらい出来事に遭った後に長く続く。国立精神・神経医療研究センター(東京都小平市)認知行動療法センターの伊藤正哉部長らの研究グループが行った臨床試験の結果、「認知処理療法」と呼ばれる心理療法が日本でも有効であることが確かめられた。

▽記憶がよみがえる

 災害、暴力、事故などで命の危険にさらされる、性被害や暴行を受けるなどの出来事に遭遇すると、さまざまな精神的不調が起こり得るが、その一つがPTSD。その原因や症状について、伊藤部長は「つらい記憶が現実に起きているかのように繰り返しよみがえる。この再体験という症状が最も特徴的です」と説明する。さらに、「出来事を思い出させる場所や状況を避けたり、神経が高ぶった状態になったり、考え方が否定的になったりするなどの症状も現れます」。

 日本で1年間に認められるPTSD患者は人口の0.7%(約87万人)で、一生のうちにかかる確率は1.3%と推定される。「本人や周囲の人がPTSDと認識していないことも多く、放置すると症状が何年も続くこともあります」

▽4カ月後も効果維持

 治療法としては、その人のものの考え方(認知)に働き掛けて、気持ちを整理する認知行動療法が有効とされ、推奨されている。その認知行動療法の一つが認知処理療法だ。「治療者とともに、つらい出来事で実際に何が起こったのか、事実を基に自分の心の中で納得できるように整理していきます」

 伊藤部長らは、日本の医療現場で認知処理療法がPTSDの治療選択肢として有効かを確かめるため、比較試験を行った。

 重症例を多く含むPTSD患者60人(女性54人、男性6人)が参加し、平均年齢は36.9歳だった。通常治療のみ行うグループと、通常治療に加え認知処理療法を1回50分、16週間で12回行う二つのグループに分けた。

 重症度の推移を調べた結果、通常治療のみのグループではほとんど変化がなかった。一方、認知処理療法を加えたグループは、17週後の症状重症度が明らかに改善し、その効果は認知処理療法終了から約4カ月たった後も維持された。

 伊藤部長は「PTSDには有効な治療法があって、回復できる病気だということを知ってもらうことが重要です」と話す。(メディカルトリビューン=時事)

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 国立精神・神経医療研究センターの所在地 〒187―8551 東京都小平市小川東町4の1の1 電話042(341)2711(代表)

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