女性特有の排便障害の原因となる「直腸瘤(りゅう)」。直腸の前壁がポケット状に膨らんだ状態だ。 松島病院(横浜市西区)肛門科長の松村奈緒美医師は「直腸瘤は必ずしも異常ではないが、便秘で強く力んで排便することを何年も繰り返すと悪化しやすい。直腸瘤の中に便が入り込んで出にくくなる排便障害を伴う場合は治療が必要です」と話す。 ▽膨らみに便がたまる 女性の直腸は、前方に薄い膣(ちつ)の壁しかないため前方に広がりやすく、直腸瘤は珍しくない。要注意なのは、便秘で強く力んで排便しがちな人だ。 「便秘で力むと肛門は締まり、直腸内の便の圧力が過度に高まって直腸壁が膨らみます。こうした排便の仕方を繰り返すと直腸瘤は拡大し、瘤内に便がたまって便秘の悪化や排便障害の原因になります」 排便障害では▽肛門まで便が来ている感じがあるのに出せない▽肛門が開かない▽排便後に残便感がある▽おなかが張る―などの症状が見られる。 「直腸瘤に便がたまっている場合、膣に指を入れて瘤を直腸側に向かって押しながら排便すると出やすくなります。直腸瘤の対処法の一つです」 排便障害の原因には直腸瘤以外にも痔(じ)疾患や腫瘍などもある。「便秘や排便障害、肛門の出血、痛みなどがある場合は一人で悩まず、肛門科を受診しましょう」 ▽便秘薬と排便指導 直腸瘤の多くは問診と肛門診察で診断がつく。例えば、切れ痔で肛門が開きにくいなど、排便障害の原因が他にもある場合は、その病気を治療すると直腸瘤も改善する。 「便を軟らかくしたり腸の運動を改善したりする便秘薬を服用し、肛門に負担をかけない排便の仕方を指導すると、大抵は症状が軽くなります」 排便障害の症状が強い場合は、バリウムを肛門から注入し、排便時の直腸や肛門の状態を確認する排便造影検査を行う。直腸瘤のある壁を補強するなどの手術が有効なケースもある。 「予防、治療のポイントは、出始めの便が硬くならないよう、適度に軟らかい便を保つこと。水分摂取や生活習慣の改善も大事ですが、非刺激性の便秘薬を何回かに分けて服用するなど、うまく活用しましょう」 松村医師は「便意があるときにトイレに行き、楽に排便できて、次の排便までおなかも苦しくない。便秘治療では、そんな快便生活を目指してほしい」と助言している。(メディカルトリビューン=時事) ◇ ◇ 医療法人恵仁会松島病院の所在地 〒220―0041 横浜市西区戸部本町9―11 電話045(321)7311