筋肉がピクピク、強い痛みも―アイザックス症候群

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感染症ビジョナリーズ 感染症ビジョナリーズ

 手足などの筋肉が勝手にピクピクと動いたり、焼け付くような感覚や強い痛みが続いたりするなどの症状が出る「アイザックス症候群」。国の指定難病の一つで、これまで不明な点が多かった。徳島大大学院臨床神経科学の松井尚子准教授らは、患者数、有病率、症状、治療内容などについて初めて全国的な調査を行った。

▽末梢神経が過剰興奮

 アイザックス症候群は「体の各部位に伸びる末梢(まっしょう)神経が過剰に興奮し、さまざまな症状を来す自己免疫疾患です」と松井准教授。自己免疫疾患とは、免疫の仕組みが異常になり、正常な細胞や組織に対する抗体(自己抗体)が作られ、自分の体を攻撃してしまう病気だ。

 アイザックス症候群では、神経を過剰興奮させる自己抗体として「LGI―1抗体」「CASPR2抗体」などが発見されている。しかし、「これらの自己抗体がこの病気の診断にどの程度役立つかは不明でした」。

 1次調査では、脳神経内科専門医がいる2935の医療施設を対象に、2018年4月~21年3月に診療した症例数を聞いた。902施設から得た回答(回答率30.7%)を分析したところ、推定患者数は114人。有病率は人口10万人当たり0.1人と算出した。

▽重症例は治りにくい

 2次調査では、1次調査で診療経験があると答えた49施設に、発症時の年齢、症状や診断、治療内容などに関し、44症例分の調査票を解析した。

 その結果、発症年齢の中央値は40歳。症状は痛み、異常感覚が95%、発汗過多が65%、凍傷のような皮膚の色調変化が21%、免疫システムに重要な胸腺(胸中央の臓器)にできる腫瘍が9%に見られた。

 「神経伝導検査や針筋電図検査では、91%の患者に末梢神経の過剰興奮が見られ、診断に有用でした。一方で、LGI―1抗体、CASPR2抗体の陽性率は低く、自己抗体だけで診断することは難しいと考えられます」

 治療は、抗けいれん薬などの対症療法、ステロイド注射などの免疫治療が行われていた。治療後は、大半の患者で日常生活での介助の必要性から見た重症度は軽くなった。一方、治療前から重症度の高い患者は治療後も良くならない傾向があった。

 松井准教授は「まれな病気ですが、思い当たる症状があったら早めに脳神経内科で診察を受けてほしい」と呼び掛ける。(メディカルトリビューン=時事)

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 徳島大医学部の所在地 〒770―8503 徳島市蔵本町3の18の15 電話088(633)9116

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