低体重・低栄養もリスク―女性の新疾患概念

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 日本肥満学会は、痩せた女性に見られる低体重や低栄養を、健康障害のリスクと捉える新たな疾患概念「女性の低体重・低栄養症候群(FUS)」を提言した。診断基準の策定が進むFUSについて、ワーキンググループ委員長の神戸大大学院医学研究科(神戸市)の小川渉特命教授に聞いた。

▽5人に1人が低体重

 FUSは「閉経前の女性が、低体重または低栄養の状態を背景として、それを原因とした疾患・症状・兆候を合併している状態」と定義される。

 日本の20~30代女性では体格指数(BMI)18.5未満の「痩せ」が約20%と先進国でも高水準。肥満は健康リスクとして広く認知される一方、「痩せのリスクは軽視されてきました」と小川教授は話す。

 女性の低体重・低栄養は、骨量低下や月経異常、不妊、貧血などを招く他、だるさや冷え、肌や髪の質の低下など影響は多岐にわたる。低体重の妊婦は低出生体重児を出産しやすく、その子は将来、肥満になりやすい傾向があるなど「次世代の健康に悪影響を及ぼす可能性もあります」。

 女性の骨密度は30歳前後をピークに、40代以降は減少し閉経後は急激に低下する。「成長期に体重が十分増えないと、若年でも高齢者のような筋肉量の低下や、将来の骨粗しょう症のリスクにつながります」

▽体質性痩せが約4割

 SNSやメディアの影響による痩せ志向も、FUSの要因だ。研究班の調査では、小学1年女児の約3割、6年女児では半数超が「痩せたい」と回答。親の何気ない「お菓子ばかり食べると太るよ」「痩せた方がかわいい」などの言葉が、不要なダイエットのきっかけになることも。「過度な痩せ願望は摂食障害にもつながりかねない」

 ただし、低体重の背景は一様ではない。意図的なダイエットの経験がない女性が約4割を占めるなど、体質的な痩せや経済的理由で十分な栄養が取れない場合もあることが分かっている。「痩せ志向だけでなく、体質や社会的要因も含む幅広い課題として、FUSを捉えてほしい」

 現在、診断基準の明確化や日本人に適したBMI値の設定が進められている。小川教授は「痩せ過ぎが健康リスクにつながることを知り、自分の体重と健康を見直す機会にしてください」と呼び掛けている。(メディカルトリビューン=時事)

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 神戸大大学院医学研究科の所在地 〒650―0017 神戸市中央区楠町7の5の1 電話078(382)5111(代表)

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