病気や薬が影響―高齢者の自動車運転

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 運転免許取得者の4人に1人は、65歳以上の高齢者だ。高齢者では加齢に伴う病気の発症や治療薬の使用が、自動車運転に影響を及ぼす可能性が指摘されている。国際医療福祉大医学部老年病学の小島太郎教授に話を聞いた。

▽低血糖も注意

 加齢による認知機能や運動機能の低下は運転に影響する。視力や動体視力、集中力が落ち、反応が遅れることがある。

 高齢になると心血管疾患や脳血管疾患などの発症も多い。「心血管疾患では、不整脈による失神や急性心不全が影響する場合がありますが、治療で病状が安定していれば運転は可能です。一方、脳血管疾患は運転中の視野や注意力、判断力に影響を及ぼすことが懸念されます」と小島教授は話す。

 糖尿病が運転に直接影響するケースは少ないが「低血糖を起こすと運転に支障が出ることが報告されています」。うつ症状やパーキンソン病では、複雑な手順を必要とする運転に関わる実行機能に障害が出やすく、医師による診断が重要だ。

 関節リウマチや骨粗しょう症では、慢性痛や骨の変性の影響で関節の動きが悪くなり、ブレーキの踏み込みが遅れるといった懸念がある。

▽車のない生活設計も

 治療薬にも注意が必要だ。睡眠薬や抗うつ薬、抗不安薬などの向精神薬は中枢神経に作用し、「眠気や反応の鈍さを招くため、多くは服薬中の自動車運転が禁じられています」

 また、鎮痛薬やアレルギー症状を抑える抗ヒスタミン薬も鎮静作用により眠気を起こすことがある。糖尿病治療薬では低血糖リスクに注意が必要だ。

 高齢者は複数の病気を抱えやすく、治療薬が増えて「ポリファーマシー(多剤服用)」になりやすい。「個々の薬の鎮静作用は軽くても、多剤服用で作用は強まる場合があります」

 「自分の病気や薬が運転にどう影響するか、まずは主治医に相談して理解することが不可欠。その上で、ふらつきや転倒など安全運転に不安がある場合には、自ら運転を控えることも重要です」

 「今後、高齢期を迎える世代は、十年先を見据え、車のない生活設計を今から考えてみては」と小島教授は提案している。(メディカルトリビューン=時事)

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