多様性が重要な腸内細菌叢―全身の健康に影響

  • Facebookでシェアする
  • Medical Tribune公式X Xでシェアする
  • Lineでシェアする
感染症ビジョナリーズ 感染症ビジョナリーズ

 腸内細菌叢(そう)は、腸にすみついている細菌の塊。「腸内フローラ」と呼ばれることもある。全身の健康に影響することが分かっており、動脈硬化の進行や心血管疾患などの生活習慣病の発症にも関わる。加古川中央市民病院(兵庫県加古川市)の平田健一院長に、腸内細菌叢と生活習慣病の関連などについて聞いた。

▽人は腸内細菌と共生

 人は出生後、外界と接触する中でさまざまな細菌を体内に取り込み、その人特有の腸内細菌叢を形成する。その過程で食習慣などの影響も受けながら、消化器の病気や糖尿病、うつ病などのなりやすさが決まると考えられる。腸内細菌叢の多様性が保たれている人は病気になりにくいとされる。

 感染症の治療などで抗菌薬を使うときも腸内細菌のバランスが一時的に乱れるが、「治療が終わると、もともと共生していた細菌を選んで、その人特有の腸内細菌叢に戻っていきます」。

 狭心症や心筋梗塞などを発症した人の便を調べた研究から、「バクテロイデス」というグループのうち、2種類の細菌の減少が発症に影響することが分かっている。

 現在、バクテロイデスがどのような過程で形成されるのか、遺伝や食習慣がどのタイミングで影響しているのか、また、バクテロイデスを増やすことで心筋梗塞が予防できたのか、といった点についても研究が進んでいる。

▽進む薬物治療

 動脈硬化や心血管疾患の発症は食生活の影響が大きい。その原因の一つが肉や卵、チーズなどに含まれる「ホスファチジルコリン」という物質。

 ホスファチジルコリンは、腸内細菌により代謝され生成した「トリメチルアミン」に、さらに肝臓内で酸化されたものが「トリメチルアミン―N―オキシド」という物質になる。それが炎症や心不全の悪化などを引き起こす原因となる。

 現在、腸内細菌によるホスファチジルコリンの代謝を止める薬の開発が進んでいる。平田院長は「将来的には、一人ひとりの腸内細菌叢に適した細菌を摂取する、腸内細菌の代謝時に作られる物質の作用を抑える薬を飲む、といった治療法が確立される可能性もあります」と期待を寄せる。(メディカルトリビューン=時事)

   ◇   ◇

 加古川中央市民病院の所在地 〒675―8611 兵庫県加古川市加古川町本町439 電話079(451)5500(代表)

  • Facebookでシェアする
  • Medical Tribune公式X Xでシェアする
  • Lineでシェアする