進行・再発後も長期生存可能に―肺がんの薬物治療
手術後に再発したり、既に進行した状態で見つかったりした肺がんの薬物治療法が進歩している。二つの新薬を併用する方が、従来の単独よりも効果的だと分かり、5月から医療現場で使えるようになった。併用療法の臨床試験に携わった久留米大病院(福岡県久留米市)呼吸器内科の東公一准教授に効果などについて聞いた。
▽患者ごとに原因調べ
「約20年前までは、進行・再発肺がんの治療はがん細胞をたたく抗がん剤しかありませんでした」と東准教授。副作用の脱毛や吐き気を連想する人も多いだろう。
その後、分子標的薬と呼ばれる薬が増え、がん細胞をピンポイントで攻撃しつつ、体力を温存して治療ができるようになった。その特徴は、手術などで採取したがんの組織を調べて原因遺伝子を突き止め、それに応じた薬を使うことだ。
例えば、肺がん患者の約3人に1人は細胞の増殖に関わる「EGFR」という遺伝子に変異があり、活動が「スイッチオン」のままになっている。そのため、進行・再発後の治療ではまず、EGFRタンパクの働きを阻害する飲み薬(オシメルチニブなど)を使う。
▽既存薬を上回る効果
さらに効果を高めるため、EGFRとともに別の増殖スイッチ(MET)に結合して阻害する「二重特異性抗体」という注射薬(アミバンタマブ)と、EGFR阻害の新しい飲み薬(ラゼルチニブ)を併用する方法が開発された。進行・再発後の初回治療の臨床試験で、オシメルチニブだけのグループより生存期間が少なくとも1年以上延びると示唆された。
ただし、併用療法の副作用には、皮膚の発疹、爪周辺の炎症、点滴時の過敏反応、血の塊ができる血栓症などがある。「血栓症の発現は、血液をさらさらにする薬の内服で低減できますが、皮膚の副作用で使用をためらう人もいます」
そのため、東准教授は患者の年齢や体力、希望に応じて、従来の方法も含めた治療法の中から選んでいるという。比較的若い人や皮膚の副作用を許容できる人には、新たな併用療法、高齢の女性には副作用のリスクを考慮して飲み薬のみ、といった具合だ。
「副作用のリスクを含め、医師と相談して最適な治療法を決めることが大切です」と東准教授は強調する。(メディカルトリビューン=時事)
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