発達性協調運動症―運動苦手、ぎこちない
運動が苦手で動作がぎこちなく、不器用な子どもの中には、発達性協調運動症(DCD)の場合がある。「努力や練習不足が原因ではありません。療育や支援が必要です」と長崎大子どもの心の医療・教育センター(医学部保健学科)の岩永竜一郎教授は指摘する。
▽発達障害の一つ
DCDは発達障害の一つで、中枢神経系の機能障害によって起こると考えられている。脳性まひや筋ジストロフィーなど運動に影響を与える神経疾患がないのに、縄跳びや逆上がりができない、字がうまく書けない、食べ物をこぼしやすい、姿勢が保てないなど、身体の動きをうまく調節できず日常生活に支障が出る。
岩永教授によれば、自閉スペクトラム症(ASD)や注意欠如・多動性障害(ADHD)などの発達障害と併存することも多い。学校生活では体育や図工の課題がこなせず、休み時間の活動を避けがちだ。劣等感や疎外感からおどけたりふざけたりして叱られ、抑うつ状態になることもある。
根本的な治療法はないが、作業療法や運動療法などでバランス感覚や運動スキルを高めることができる。感覚統合療法や、学齢期には認知オリエンテーションも取り入れられる。
▽低い認知度
海外の調査では、DCDは学童期の5~8%に認められる。「40人のクラスに2~3人いる計算で、決して少なくありませんが、認知度が低いのが課題です」
岩永教授らが保育施設を対象に行った調査では、「ほとんどの保育士がDCDを知っている」と答えた園は2割程度にとどまり、不器用さに気付いていても発達障害とは認識していない場合が多かった。保護者も子どもの不器用さを深刻に受け止めず、医療機関などに相談するケースは少ないという。
「まずはDCDについて正しく知ることが重要です。こども家庭庁が進める5歳児健診の全国実施などを通じて、早期発見の仕組みを整えることが求められます」
その上で「子どもを日ごろからよく観察し、他の子と比べるのではなく、小さな成長に目を向け『できるようになったね』と声を掛けることが大きな励みになります。気になる症状があれば、小児科や発達障害者支援センターに相談してください」と助言している。(メディカルトリビューン=時事)
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