心身に影響するバセドウ病 ―更年期と誤解されやすい症状

甲状腺ホルモンが過剰に分泌されるバセドウ病。心身に多様な症状が表れるため、更年期障害と誤解され、診断まで時間を要することもある。白旗なのはなクリニック(神奈川県藤沢市)の鯨岡裕平医師は「適切な検査と治療でコントロールできる病気です。思い込みで放置せず、早めに専門医を受診しましょう」と呼び掛ける。
▽甲状腺の腫れ、眼球突出も
甲状腺は首の前面にある小さな臓器で、代謝を調整するホルモンを分泌している。「ホルモンの量が多過ぎても少な過ぎても体調に大きく影響しますが、バセドウ病はその中でも、甲状腺ホルモンが過剰になります」と鯨岡医師。
代表的な症状は動悸(どうき)や頻脈、手の震え、発汗過多、体重減少などの症状に加え、いらいらや情緒不安定といった精神的な変化も見られる。強い疲労感や集中力の低下に悩まされる人も多く、仕事や日常生活に支障を来す。
診断の基本は血液検査で、甲状腺ホルモン(FT3、FT4)の高値と、甲状腺刺激ホルモン(TSH)の低値を確認する。さらに、バセドウ病特有の自己抗体の有無を調べることで、診断の精度が高まる。甲状腺の腫れや眼球突出も診断の手掛かりとなる。「症状が続くのに原因が分からない場合は、甲状腺の検査を受けることが早期発見につながります」
▽日常生活でも工夫を
主な治療法は三つある。一般的なものは、抗甲状腺薬による薬物治療で、甲状腺ホルモンの過剰分泌を抑えることで症状をコントロールする。ただし長期間の服薬が必要であり、副作用や再発のリスクもある。
二つ目が「放射性ヨウ素治療」で、甲状腺に取り込まれる放射性ヨウ素を使って組織の働きを弱める方法。三つ目は外科的手術で、甲状腺の一部または全体を切除する。重症例や再発例で検討される。「治療法は年齢や合併症の有無、ライフスタイルに合わせて選ぶ必要があります」
さらに、「生活習慣の改善も予後の向上に欠かせません」。心臓や骨への影響を考え、無理のない運動や栄養バランスの取れた食事も大切だ。「過度なストレスや睡眠不足は、症状を悪化させる要因となります。規則正しい生活を心掛けましょう」と鯨岡医師は助言する。(メディカルトリビューン=時事)
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