見過ごされやすい病変―腎臓がん

  • Facebookでシェアする
  • Medical Tribune公式X Xでシェアする
  • Lineでシェアする

 自覚症状に乏しい腎臓がんは、血尿や腰や背中の痛みといった症状が出る頃には進行していることも少なくない。腎臓がんの特徴や予防などについて、岩切病院(仙台市)の斎藤雄佑医師に聞いた。

▽健診で見つかることも

 腎臓は、血液をろ過して老廃物を尿として排出するだけでなく、水分や電解質の調整、血圧の維持、ホルモン分泌など多様な役割を担っている。

 障害が進んでも症状が出にくい臓器のため、病気の発見が遅れることがある。「腎臓がんもその典型で、健康診断などで偶然見つかることが多いです」。特になりやすい人として、喫煙習慣がある人、肥満や高血圧を抱える人、家族に腎臓がんの既往がある人などを挙げる。

 症状が出る場合、血尿が代表的で、肉眼で確認できるケースもあれば尿検査で初めて分かる場合もある。また腰や背中の痛み、腹部のしこりといった症状が出ることもあるが、多くは進行してからだ。

 腹部超音波検査(エコー)は比較的負担が少なく健診の場でも行われる。「異常が疑われれば、コンピューター断層撮影装置(CT)や磁気共鳴画像(MRI)で腫瘍の大きさや周囲への広がりを詳しく調べ、診断と治療方針の決定に役立てます」

▽生活習慣の改善不可欠

 治療は、腫瘍の大きさや進行度によって方法が異なる。早期であれば、腎臓を部分的に切除する腎部分切除術や、腎臓全体を摘出する腎摘除術が基本となる。

 進行した場合や転移した場合は、分子標的薬や免疫チェックポイント阻害薬といった薬物療法が行われ、近年、治療成績が上がっている。斎藤医師は「薬物治療の進歩で選択肢は広がりましたが、外科的切除が可能な段階で見つけることが最も望ましいです」と指摘する。

 ただし、予防するためには生活習慣の改善が欠かせない。喫煙は最大のリスク因子とされ、禁煙が最も重要だ。肥満や高血圧も発症リスクに直結するため、適度な運動と減塩を意識した食生活が求められる。「定期的な健康診断や画像検査を受けることで早期発見の可能性が高まります」と斎藤医師。「生活習慣を整えることは腎臓がん予防だけでなく、心臓病や脳卒中といった他の生活習慣病の予防にもつながります」と話す。(メディカルトリビューン=時事)

   ◇   ◇

 岩切病院の所在地 〒983―0821 仙台市宮城野区岩切稲荷21 電話022(255)5555(代表)

  • Facebookでシェアする
  • Medical Tribune公式X Xでシェアする
  • Lineでシェアする