背景に孤立や生きづらさ―市販薬の過剰摂取

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 処方箋なしで購入できる市販薬。便利な一方、定められた用量を守らないオーバードーズ(過剰摂取)が若者の間に広がっている。国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所(東京都小平市)薬物依存研究部心理社会研究室の嶋根卓也室長に聞いた。

▽60人に1人が経験

 同センターが2021年度に実施した調査では、高校生約4万5000人のうち、過去1年以内に市販薬を乱用目的で使用した経験がある生徒は約60人に1人に上った。

 背景には家族や友人関係、学校生活への不満など、さまざまな生きづらさがある。「特に女性に多く、孤立感や心理的な苦痛を一時的に和らげる手段として乱用を繰り返す傾向があります」と嶋根室長。

 きっかけはSNSで過量摂取の体験談を目にしたケースが多い。主な情報源がSNSのため、幾つかの有効成分を含有する特定のブランドに人気が集中する。いずれも厚生労働省が「乱用のおそれのある医薬品」に指定する成分に含まれておらず、「実態に合わせた対策を取ることが必要だ」。

▽SNS相談の活用を

 市販薬の過剰摂取は急性中毒を起こし、最悪の場合は死に至る危険がある。しかし「乱用の危険性を訴えるだけでは、予防になりません。重要なのは子どもに関心を持ち、孤立させないこと」。

 乱用を繰り返す若者は、家族関係に問題を抱える場合も多い。頭ごなしに否定せず、寄り添い、最後まで話を聞くことが支援につながる。「オーバードーズは子どもからのSOSのサインと受け止めてほしい」

 薬を使ったことや使いたい気持ちを正直に話せる「安全な場」も必要だ。大阪府は依存症に悩む人を対象に、文字チャットによるSNS相談「大阪依存症ほっとライン」を開設。嶋根室長らもLINEなどのSNSやチャットで相談できる団体の情報発信を強化し、同時に、家族支援にも力を入れている。

 薬物問題を解決する第一歩は、家族が相談や支援につながろうとすることだ。「子どもの異変に気付いたら、抱え込まず、まずは精神保健福祉センターなどメンタルヘルスの専門機関にご相談ください」と呼び掛けている。(メディカルトリビューン=時事)

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 国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所の所在地 〒187―8551 東京都小平市小川東町4の1の1 電話042(341)2711(代)

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