餅による窒息―119番と応急手当
食事中の窒息事故で、毎年4千人超が命を落としている。特に1月は、高齢者が餅を喉に詰まらせる事故が多発する時期だ。日本医科大付属病院(東京都文京区)救命救急科の五十嵐豊講師は「高齢者の窒息事故の多くは家庭や介護施設で起きます。救急車が到着するまでの応急手当てが、後遺症なく回復する可能性を高めます」と話す。
▽サインに早く気付く
窒息とは、気道に異物が詰まり呼吸ができなくなる状態。5分を過ぎると急激に容体が悪化し、多くが回復困難に陥る。
高齢者の窒息の多さには、「喉の筋力低下や、異物を排出しようとするせき反射の衰え、歯や入れ歯の問題で十分にかめないこと、薬の影響で唾液が減ることなど、さまざまな要因があります」。
脳梗塞やパーキンソン病などの神経疾患では、飲み込む機能が低下しやすく、統合失調症では早食いの傾向から窒息が起こりやすいという。
また、手で喉をつかむ動作は窒息のサインとされる。「声が出せず、喉を押さえたり、机をたたいたり苦しがるケースが多いです。原因となる食べ物は多岐にわたりますが、餅の他、恵方巻や節分の豆など行事食にも多く、食事中はできる限り目を離さず、サインに早く気付くことが大切です」
▽背中を強くたたく
窒息に気付いたら、まず声を掛けて反応を確認。応答できる場合はせきをするよう促す。「せきで異物を出せないときは、すぐに119番通報し、救急隊が到着するまで異物除去を行ってください」
異物除去の方法は、〔1〕背中を強くたたく「背部叩打(こうだ)法」〔2〕みぞおちを圧迫する「腹部突き上げ法(乳幼児や妊婦は不可)」―の順に試みる。反応がなくなった場合は、心停止と判断して胸骨圧迫による心臓マッサージを直ちに開始し、救急隊が到着するまで続ける。
意識がない場合はすぐに119番をし、胸骨圧迫を行う。「圧迫中に異物が見えたときは取り除き、近くにAEDがあれば使用してください」
窒息を防ぐには▽食べ物を細かく刻む▽少量ずつよくかんでゆっくり食べる▽水分を取りながら食べる―などの工夫が大切だ。
「高齢者と暮らす家族や介護職の方は、喉に詰まりにくい調理法や食べ方、異物除去や胸骨圧迫の方法をぜひ身に付けてください」と五十嵐講師は助言している。(メディカルトリビューン=時事)
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