入浴を安全に楽しむ―高齢者のヒートショック対策

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 冬季は高齢者を中心に、家庭の浴室での事故が増える。急激な温度差によって血圧が大きく変動し、心臓や脳に負担をかける「ヒートショック」は、入浴中の突然死の主な原因とされている。杏林大医学部付属病院(東京都三鷹市)救急総合診療科兼高齢診療科の長谷川浩教授に、注意点や予防策を聞いた。

▽12~2月に多発

 暖かい部屋から寒い脱衣所に移動すると、血管が急激に収縮し血圧が上昇する。冷えた浴室で熱い湯に入ると、今度は血管が拡張して血圧が急降下する。これらの急変が心臓や脳への血流を不安定にし、めまいや、失神による転倒や溺水、さらには心筋梗塞や脳卒中など命に関わる疾患を引き起こす場合もある。

 「入浴中の死亡事故は特に高齢者に多く、12月から2月にかけて発生件数が増加します」と長谷川教授。

 加齢で血管が硬くなっている高齢者だけでなく▽心臓や脳、血管の病気がある▽高血圧、糖尿病、脂質異常症、不整脈がある▽浴室や脱衣所が極端に寒い▽一番風呂に入ることが多い▽熱めの湯で長湯する傾向がある―場合などは年齢を問わず注意が必要だ。

 「血圧が下がりやすい食事直後や飲酒後の入浴は特に危険です。食後30分~1時間は入浴を控え、お酒は入浴後に」

▽温度差を減らす

 ヒートショックを防ぐには、室内の温度差を減らすこと。脱衣所に小型の暖房器具を設置して入浴前に温めておくとよい。浴槽のふたを開けてシャワーで湯を張ると浴室が蒸気で温まり温度差をさらに縮められる。浴槽に入る前に手足に掛け湯をし、急激な血圧低下を緩和するのも有効だ。

 長湯を避け、湯から出るときは急に立ち上がらない。「入浴前に家族に声を掛ける、独居の方はスマホを脱衣所(防水仕様なら浴室)に持ち込むなど、異変にすぐに気付いてもらえる仕組みをつくっておくと安心です」。浴室の手すり設置や滑りにくい床材、滑り止め付きのバスチェアも安全対策として有効だ。

 家族がヒートショックを起こしたら「まず浴槽の栓を抜いてお湯を抜き、バスタオルで体を包んで体温の低下を防ぎます。意識や呼吸がない場合は、すぐに救急車を呼んでください」

 入浴は正しい方法で行えば、血行促進やリラクセーションなど健康促進に役立つ。「日ごろから対策を意識して、安全に入浴を楽しんでください」と長谷川教授は助言している。(メディカルトリビューン=時事)

   ◇   ◇

 杏林大医学部付属病院の所在地 〒181―8611 東京都三鷹市新川6の20の2 電話0422(47)5511

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