終末期がん患者のストレス軽減―犬と触れ合う「動物介在療法」

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 犬との触れ合いは、治癒が困難な終末期がん患者の気持ちをリラックスさせるとともに、ストレスを軽減する―。日本医療科学大(埼玉県毛呂山町)保健医療学部看護学科の藤澤博子講師らによる研究で、このようなことが分かった。

▽認知度低い日本

 犬、猫などの動物と触れ合うと、実際に「幸せホルモン」と呼ばれるオキシトシンの分泌が高まることなどが報告されている。こうした効果を人の医療に応用するのが動物介在療法だ。

 欧米では早くから、精神科、小児科、リハビリテーションなどで積極的に取り入れられている。一方、日本では「高齢者施設などで行われる、癒やしを目的とした動物介在活動しか広がっておらず、動物介在療法を導入する医療機関も限られています」と藤澤講師。

 同療法の効果は、終末期患者の心身の苦痛を和らげ、生活の質(QOL)を改善する緩和ケアの領域でも期待できる。厚生労働省も、緩和ケアの一例として動物介在療法を掲げるが、その効果を科学的に見た研究は少ない。

▽心電図や唾液を分析

 藤澤講師らは、ホスピスに入院した終末期がん患者に対する動物介在療法の効果を検討した。対象は、意識がはっきりしており、犬との触れ合いを希望し、医師が動物介在療法を行えると判断した終末期がん患者。ベッドの横に来た犬に話し掛けたり、触ったりし、1日10分間、可能な限り毎日続けた。犬は、動物介在療法の経験豊富なセラピー犬2頭が参加した。

 開始前、施行中、終了後に心電図検査を、開始前と終了後に唾液検査を実施。心電図や唾液を測定し、その推移から自律神経やストレスの変化を評価した。

 データを完全に収集できたのは、意識混乱や鎮痛薬の副作用などで中止となった患者を除く10人だった。健康な患者の家族9人にも同様の検討を行った。

 いずれの指標も、療法開始後に明らかに改善し、効果は終了後もしばらく見られた。家族でも同様の結果が得られたが、効果の程度は患者の方が大きかった。

 藤澤講師は「死が迫る状況で、多くの患者が犬に『また、あしたね』と話し掛けるなど、『あす』の話をしました。苦痛の緩和、QOLの向上が期待され、終末期患者に試みる価値のある緩和ケアと考えます」と話す。(メディカルトリビューン=時事)

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 日本医療科学大の所在地 〒350―0435 埼玉県毛呂山町下川原1276 電話049(294)9000

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