脳梗塞予防に左心耳切除―心房細動を同時に治療
心臓でできた血栓(血の塊)が脳の血管に流れ込み発症する「心原性脳梗塞」は、命に関わる疾患。従来の治療法は血液を固まりにくくする抗凝固薬の服用が必要で、出血などの副作用が課題だ。そうした中、根本治療が期待できるとして注目されるのが「ウルフ・オオツカ法」と呼ばれる手術である。済生会下関総合病院(山口県下関市)心臓血管外科の伊東博史科長に聞いた。
▽血栓は左心耳でできる
全身から心臓に戻った血液は左心房に流れ込む。左心房の外側には、犬の耳のような形をした「左心耳」と呼ばれる間口が数センチの小さな袋状の構造がある。不整脈の一つである心房細動が起きると、左心耳の内部で血流が滞り、血栓ができやすくなる。血栓が心臓を経て脳の血管をふさぐと、脳梗塞を引き起こす。
脳梗塞の約3割が心原性脳梗塞で、その9割以上は左心耳でできた血栓が原因という。
予防には、原因である心房細動の治療に加え、左心耳を閉鎖したり切除したりする方法がある。心房細動の治療には、異常な電気信号の発生場所を焼いて整える「カテーテルアブレーション」が広く行われており、左心耳の入り口をふさぐ方法も。ただし、これらの治療後も血栓予防のために抗凝固薬などを服用し続けるのが一般的だ。
「抗凝固薬は血液を固まりにくくして血栓を防ぐ半面、止血しにくくなるため、脳出血など重い副作用を引き起こす危険があります」と伊東科長は指摘する。
▽抗凝固薬が不要に
同院では、胸腔鏡を使った手術で左心耳を切除し、同時に心房細動のアブレーション治療も行う「ウルフ・オオツカ法」を採用。胸の壁を4カ所5~10ミリ切開し、そこから器具を入れて左心耳を切除し、心筋の表面を焼いて乱れた脈を整える。手術時間は左心耳閉鎖のみなら30分、アブレーションを含めて60~90分、入院期間は3~7日。費用は約160万円で、公的医療保険が適用され高額療養費制度も利用できる。
血栓ができる場所である左心耳を閉鎖することで、抗凝固療法を行わなくても脳梗塞発症を予防できる可能性が高いという。「当院では過去7年間に230人以上に実施しましたが、再発はありません」
伊東科長は「心原性脳梗塞の予防は、主治医とよく相談し、複数の治療法の中から自分に合った方法を選ぶことが大切です」と助言している。(メディカルトリビューン=時事)
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済生会下関総合病院の所在地 〒759―6603 山口県下関市安岡町8の5の1 電話083(262)2300(代)














