経口避妊薬―上手に付き合う
望まない妊娠から女性を守る経口避妊薬(ピル)。日本での普及率は数%程度だったが、近年は利用者が増えている。2025年6月には従来薬とは異なる作用を持つ避妊薬「スリンダ」が登場し、利便性が高まった。自治医科大さいたま医療センター(さいたま市)産婦人科の今野良名誉教授に話を聞いた。
▽血栓リスクを軽減
ピルは、月経が始まる10代前半から40歳前後までの女性に処方される。服用は1日1回、28日が1サイクルだ。主に避妊目的で使われる低用量ピルと、月経困難症や子宮内膜症などの治療を目的とする超低用量ピルがある。
オンライン診療が普及したが、初回は対面診療が原則だ。「問診の他、超音波検査や内診(膣内の視診や触診)で病気の有無などを確認することが重要です。その後はオンラインでの継続処方が可能で、対面は半年に1回程度が理想です」
従来の低用量ピルは避妊効果が高い半面、成分の卵胞ホルモン(エストロゲン)による血栓症リスクが課題だった。スリンダは、ミニピルと呼ばれる種類の経口避妊薬で、黄体ホルモン(プロゲステロン)のみが含まれている。血液の凝固を促すエストロゲンが除かれており、避妊効果は低用量ピルと同程度で血栓リスクが低いことが大きな特徴。従来薬では処方が困難だった40歳以上や喫煙者、肥満、高血圧の人なども使える可能性が広がる。
服用初期に不正出血が起こる場合がある。多くは体が薬に慣れると治まるが、出血量が多い場合などは医療機関に相談する。
▽緊急避妊薬は面前服用
避妊に失敗した際に使う緊急避妊薬(アフターピル)は、試験的に一部の薬局で処方箋なしで購入できるようになっている。「研修を受けた薬剤師のみが販売できます。女性の健康を守る観点から、年齢制限はなく、保護者の同意も不要です。悪用防止のため、薬剤師の前での服用が義務付けられています」
服用が早いほど避妊効果は高く、薬にもよるが性交後24時間以内で約95%、48時間以内で約85%、72時間以内で約58%。「少しでも早く服用することが妊娠阻止率を高める唯一の方法です。不安を感じたら、ためらわず直ちに行動しましょう。服用後2時間以内に吐いた場合は薬が吸収されていない可能性があるため、医療機関に相談を。生理が来ない場合も受診してください」
アフターピルは緊急用のため、継続的な避妊には低用量ピルやミニピルが望ましい。「ピルは望まない妊娠などによる負担を減らす手段の一つ。正しい知識を持ち、ご自身の健康を守りましょう」と、今野名誉教授はアドバイスしている。(メディカルトリビューン=時事)
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