目に色素がたまる病気の原因解明―緑内障の早期診断に
緑内障は、目の奥にある視神経が傷付くことで視野が狭くなり、進行すると失明に至る病気。山梨大大学院医学域(山梨県中央市)の小田賢幸教授らの研究グループは、目の中に色素があふれ出す病気「色素性緑内障」の原因となる異常「色素分散症候群」が起きる仕組みを細胞レベルで解明した。
▽色素が漏れ、排出経路をふさぐ
色素性緑内障は、黒目の周囲にある虹彩(こうさい)の色素細胞からメラニン色素が漏れ、目の中に広がる色素分散症候群によって引き起こされる。漏れた色素は、目の中を流れる房水という液体に乗って移動し、目の端にある隅角(ぐうかく)へ運ばれる。
隅角には「線維柱帯(せんいちゅうたい)」と呼ばれる網目状の組織があり、房水をろ過して目の外へ排出する役割を担っている。しかし、色素が線維柱帯にたまると目詰まりを起こし、房水がうまく排出されなくなる。このため、眼球内の圧力(眼圧)が上昇し、視神経が圧迫されて緑内障が進行する。色素性緑内障は、このような流れで発症する。
「近視や遺伝的要因によって、色素分散症候群が起こりやすくなることも知られています。早期発見と経過観察が重要です」と小田教授。
▽細胞構造の異常が色素漏れの原因に
小田教授らは、色素が漏れ出す背景にある細胞内の構造異常に着目した。色素細胞にはメラニン色素を蓄える袋状の構造(メラノソーム)があり、その中では「PMEL」と呼ばれるタンパク質が色素の「足場」となるアミロイド繊維を作っているが、遺伝子に異常があるとこの構造が変化し、色素が漏れやすくなるという。
研究グループは、電子顕微鏡を使ってPMELの構造を原子レベルで観察し、遺伝子変異によって色素や関連物質が細胞内外にたまりやすくなることを確認した。これにより、色素分散症候群の原因がより明確になった。
小田教授は研究成果について、「色素性緑内障の診断や予防的治療の開発に役立つ可能性があります。また、眼科だけでなく、アルツハイマー病などアミロイドが関与する神経疾患の理解にもつながると期待されます」と説明する。今後は、臨床応用に向けた研究が求められる。(メディカルトリビューン=時事)
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