睡眠中にたびたび低呼吸や無呼吸が起きると、睡眠の質が低下して日中の眠気や生活習慣病の発症や悪化などを招く―。本人が自覚しないまま発症・進行する睡眠時無呼吸症候群(SAS)について、久留米大(福岡県久留米市)の内村直尚学長(神経精神医学)に、生活習慣病との関連などについて聞いた。 ▽海外より短い睡眠時間 経済協力開発機構(OECD)の調査(2018年)によると、33加盟国の中で日本人は睡眠時間が短く、平均は7時間22分。「海外と比べて1時間以上短く、24時間社会(社会活動が昼夜を問わず行われていること)や交代制勤務、スマートフォンの光などによる影響が『睡眠課題』となっています」 寝付きの悪さや早朝に目が覚めるなど、睡眠の質が低下している人も多い。厚生労働省の調査(2019年発表)によると、20~50代で最も多かったのが「日中の眠気」で、週3日以上その自覚がある人は30~40%程度だった。 日中の眠気の主な原因がSASだ。就寝中に気道が狭くなることで、7時間の睡眠中に30回以上、または1時間当たり5回以上、10秒以上の無呼吸が起こる。 SASは、肥満や顎が小さい人、舌やその付け根が大きい人、へんとう肥大がある人がなりやすい。いびきをかき、無呼吸が生じ睡眠の質が低下することで、日中も過度の眠気などが起きる。 ▽糖尿病や不整脈のリスク 生活習慣病との関連性も強い。内村学長は「高血圧や2型糖尿病、不整脈などの発症リスクを高め、重症の場合は、脳卒中による死亡リスクが約3.3倍になると言われます」と説明する。 SASの原因である肥満の解消や、鼻に装着したマスクから空気を送り込んで気道を確保するCPAP(シーパップ)療法などを受けることが重要だ。日本人のSASの潜在患者数は940万人以上とされるが、CPAP治療を受けている人は約78万人にとどまる。 「高血圧などの治療を受けていても期待する効果が見られない場合は、SASが隠れていることがあります」と内村学長。「いびきや日中の過度の眠気など悩みがあれば、医療機関の受診を。SASを治療することで、いびきや無呼吸の改善、睡眠の質向上、脳卒中や心筋梗塞などの心血管疾患のリスク軽減が期待できます」とアドバイスする。(メディカルトリビューン=時事) ◇ ◇ 久留米大病院の所在地 〒830―0011 福岡県久留米市旭町67 電話0942(35)3311(代表)