中性脂肪が蓄積ー「心臓の肥満症」

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 トリグリセライド(TG)とも呼ばれる中性脂肪が心臓の筋肉や血管に蓄積し、心不全や動脈硬化、心筋症、狭心症などを引き起こす中性脂肪蓄積心筋血管症(TGCV)。2008年に日本で発見されたばかりの病気だ。その発見者であり、TGCV研究を率いる大阪大大学院医学系研究科中性脂肪学共同研究講座(大阪大医学部病院循環器内科)の平野賢一特任教授に話を聞いた。

▽生活習慣病とは異なる

 「心臓は、正常に機能していれば脂肪を主なエネルギー源として利用します。しかし、TGCVでは心臓や血管の細胞内で中性脂肪がエネルギーとして使われずにたまります」と平野特任教授。

 現在までに約1000人のTGCV患者が見つかっている。発症は成人になってからで、小児では見つかっていないという。主な症状は、動悸(どうき)、息切れ、めまい、ふらつきで、胸の痛み、疲れやすさ、手足の冷えや寒さに弱いことなどが見られるケースも。

 TGCVは生活習慣病ではない。血液中のコレステロールや中性脂肪が多い脂質異常症、高トリグリセライド(TG)血症とは違い、血中TG値のみでは判断は難しい。また、肥満とも異なり、体重や体格指数(BMI)のみでは判断できない。

 「分かりやすく言えば、心臓や血管の細胞の中に脂肪がたまって、重症の心臓病になる、心臓の肥満症です」

 診断には、心臓の脂肪の蓄積を調べる「心筋BMIPPシンチグラフィー検査」が必須だ。診断基準は日本循環器学会が発行する診療ガイドラインにも記載されている。

▽治療薬開発目指す

 平野特任教授は、TGCVは全国に約4万~5万人いると推定する。「心不全や狭心症の治療を長期間受けている患者さんで、なかなか改善が見られない場合は、TGCVの可能性もあります」

 現在、ココナツオイルや母乳にごくわずかに含まれる中性脂肪の一種である「トリカプリン」に着目し、治療薬の開発に取り組んでいる。単純にココナツオイルや母乳を摂取しても効果は期待できないので誤解しないことが大切だ。

 「治療薬の開発に取り組みながら、TGCV患者会とも協力しつつ国の難病指定化を目指しています」と平野特任教授は話している。(メディカルトリビューン=時事)

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