台風や地震などの自然災害は、いつどこで起こるか予測できない。ストレスの多い避難生活を乗り切る鍵は「食」だ。国立健康・栄養研究所(大阪府摂津市)災害栄養情報研究室の坪山宜代室長に、災害食と健康に関する研究結果を基に、一般家庭の食料備蓄のポイントを聞いた。 ▽非常時こそ食が重要 災害発生後の避難生活では食の充実にまで手を回せないと考えられがちだが、「災害時ほど食が大事。非常時だからと食を後回しにしてはいけない」と坪山室長は強く呼び掛ける。 数日くらい食べなくても大丈夫という考えは禁物だ。災害発生直後の極度のストレスや慣れない避難所生活で、食料が提供されても喉を通らない人は多い。栄養状態の悪化なども見られ、体重減少、体調不良、災害関連死につながる恐れもある。 食事を取らなかったり取る量が少なかったりすると、水分不足で脱水症のリスクが上がってしまうことも。「いざというときこそしっかり食べないと、体を維持できません」 坪山室長はまた「避難所に行けば、食事が提供されるから何とかなるという認識も変えてほしい」と言う。自治体では、食料を含め、災害発生直後に必要になる身の回りの物は各自で持参するのがルールとなっている場合が多い。「自分や家族の身を守るためには、平時からの備えが重要です」 ▽おいしい食を備える 一般家庭の備蓄は水、主食、おかずなど1週間分が目安だが、乳幼児や高齢者、食物アレルギーなどがある場合、2週間程度の食料確保が望ましい。他にも、携帯トイレや簡単な調理ができるカセットコンロも備えておきたい。 「食欲が減退する災害時こそ、おいしい食事が必要です。災害食は食べ慣れた大好物をストックしましょう」 また、災害食を日常から使用し、災害時にも使用する「ローリングストック」を推奨する。「作る手間をかけたくないときなどに、日ごろから食べてみて、お気に入りの味を探すのもよいです」 保管方法にもこつがある。一カ所に保管していると、いざというときに持ち出せない可能性があるため、家の中に分散して保管しておく。一日分の水分や食料を袋やケースに分け、最初の数日はすぐに食べられるものを、その後はアルファ米やレトルトなど温めて食べられる食料を備蓄するのもポイントだ。 「9月1日の防災の日と、東日本大震災が発生した3月11日など、年2回、賞味期限をチェックして災害食の見直しを」と坪山室長は助言する。(メディカルトリビューン=時事)