「親知らず」を抜いた経験のある人も多いだろう。放置すると炎症を起こして手術が必要になる場合がある。東京医療センター(東京都目黒区)歯科口腔(こうくう)外科の別所央城科長に、親知らずの抜歯について聞いた。 ▽虫歯や炎症のリスク 親知らずは、前から8番目に位置する永久歯で、上下左右に各1本、計4本あるのが一般的。4本そろっていない人や、1本もない人もいる。正式名称は「第三大臼歯(だいきゅうし)」で、「智歯(ちし)」とも呼ばれる。 「7番目の歯まではおおむね12歳ごろまでに生えそろいますが、親知らずは20歳前後に生えるのが特徴です。現代人は柔らかい食事が多く、顎が小さいため、親知らずが生えるスペースが足りず、正常に生えないことが問題です」と別所科長。 正常に生えていてかみ合わせに問題がなければ、必ずしも抜歯の必要はない。「生え方に問題があると、歯磨きがしづらく不衛生になり、虫歯や歯茎の腫れを伴う智歯周囲炎になることがあります」 智歯周囲炎が進行すると、頬や首に炎症が広がり、頬部蜂窩織炎(きょうぶほうかしきえん)に至ることも。「麻酔が効きにくい状態での手術や、全身麻酔による手術が必要になる場合もあります」 歯茎や顎の骨の中に埋まっている親知らずは、智歯周囲炎のリスクが高い。また、骨粗しょう症やがんの薬物治療(ビスホスホネート製剤やデノスマブ)を受けている人では、顎骨壊死(がっこつえし)のリスクもあるという。 ▽口腔外科専門医へ こうしたリスクを踏まえ、別所科長は歯科検診と専門医による抜歯を勧める。「女性は16歳ごろ、男性は18歳ごろに骨の成長は止まるため、一度、歯科検診を受けることをお勧めします。普通に生えていれば問題は少ないですが、生え方や歯茎や顎の骨の中に埋まっている親知らずに問題があると指摘された場合は、口腔外科専門医のいる医療機関に相談すると安心です」 抜歯の際、歯の根元にある神経が通る「下顎管(かがくかん)」を傷つけると、下唇周辺にまひやしびれが残る可能性も。安全な抜歯を希望するなら、日本口腔外科学会が認定した口腔外科専門医の受診が望ましい。同学会の公式サイトには専門医名簿が掲載されている。(メディカルトリビューン=時事) ◇ ◇ 東京医療センターの所在地 〒152―8902 東京都目黒区東が丘2の5の1 電話03(3411)0111(代表)