異常タンパク質が臓器に障害―全身性ALアミロイドーシス
国の指定難病で、アミロイドという異常なタンパク質がさまざまな臓器に沈着して障害を起こす「全身性ALアミロイドーシス」。命に関わる病気だが、治療が進歩し、長期生存が期待できるようになってきた。熊本大病院(熊本市)血液内科の河野和助教に現状を聞いた。
▽心臓、腎臓の症状
全身性ALアミロイドーシスは、人口100万人当たり年間4人程度が発症するとされる。診断時の平均年齢は65歳。細菌やウイルスと戦う「抗体」を作る形質細胞(血液細胞の一種)が無秩序に増え、抗体の役目を果たさないタンパク質を作り出すことで発症する。「役に立たない抗体の軽鎖と呼ばれる部分が変化し、線維状のアミロイドタンパクになって臓器に沈着するのが特徴です」
症状として、アミロイドが心臓に沈着すれば、心不全による倦怠(けんたい)感、息切れ、むくみ、それに不整脈などが起きる。腎臓への沈着であれば、たんぱく尿、むくみなどが表れる。神経に沈着すると、手首付近で神経が圧迫されて手指のしびれなどが生じ、舌の組織に沈着すると舌が分厚くなる。
▽新たな治療法
治療は、形質細胞の増殖を阻止し、アミロイドの沈着を防ぐことが主眼になる。これまで細胞増殖を抑える複数の抗がん剤を組み合わせて使ってきたが、より形質細胞に焦点を合わせた薬を含む4剤併用療法が2021年に導入された。
「以前は、病気が進行した場合、患者の半分は6カ月ほどで亡くなることが多かったのですが、新たな併用療法を2年間続けることで、多くの患者は長く元気に過ごすことが可能になりました」
ただし、「既に沈着したアミロイドを取り除く治療ではないため、臓器の機能の回復には6カ月以上かかります」と注意を促す。一方、「この治療でも効果が不十分な人が2割くらいいることや、効果があっても再発する人がいることが課題です」。副作用として、急激なアレルギー反応や感染症などがある。
河野助教は「効果を得るために重要なのは、早期に発見して治療を開始することです。症状が似た病気は他にもあるので、まずは循環器内科や腎臓内科の医師に相談するとよいでしょう」と助言する。(メディカルトリビューン=時事)
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