認知症治療に漢方薬―中核症状でも研究

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 認知症治療に漢方薬が使われることがある。主に行動・心理症状(BPSD)に対する有効性や安全性が確認されているが、富山大付属病院(富山市)の和漢診療科では認知機能障害などの中核症状に対する効果も研究している。同科の貝沼茂三郎教授に話を聞いた。

▽症状ごとに使い分け

 認知症には大きく分けて二つの症状がある。一つは、認知機能や時間、場所、人物などを認識する見当識の低下など、脳の機能障害による中核症状。もう一つは、性格や環境の影響が加わって表れるBPSDだ。

 BPSDのうち「怒りっぽさや興奮などの陽性症状には抑肝散(よくかんさん)がよく使われます。胃腸が弱い人には、抑肝散加陳皮半夏(よくかんさんかちんぴはんげ)が処方されることもあります」と貝沼教授は話す。抑肝散には甘草(かんぞう)が含まれ、副作用として血圧上昇などが報告されており、「特に高齢者や女性では注意が必要です」。

 一方、元気がない、気力が出ないといった陰性症状には、帰脾湯(きひとう)や加味帰脾湯(かみきひとう)、人参養栄湯(にんじんようえいとう)などが用いられる。これらの漢方薬は、臨床試験などで効果が報告されている。

▽「減薬効果」も期待

 貝沼教授が率いる和漢診療科では、中核症状に対する漢方薬の有効性や安全性についても研究を進めている。「さらなる研究が必要ですが、帰脾湯には、精神安定作用のある遠志(おんじ)という生薬が含まれており、物忘れや不眠に使われてきた実績があります。認知機能の改善にもつながる可能性があります」

 また、八味地黄丸(はちみじおうがん)については、「漢方医学では認知症を加齢による変化と捉えるため、夜間頻尿や慢性的な腰痛に使われる八味地黄丸は、認知症の病態に合うと考えられます」。

 「漢方薬には多面的な効果が期待できるため、高齢者で問題となっている多剤併用の見直しと減薬にもつながります」と、貝沼教授はアドバイスしている。(メディカルトリビューン=時事)

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 富山大付属病院の所在地 〒930―0194 富山市杉谷2630 電話076(434)2315

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