パーキンソン病で性差―運動神経の活動性低下、女性で大きく
パーキンソン病は、震え、筋肉が硬くなって動きにくくなる、動作がゆっくりになるなどの運動症状が表れる。こうした症状をもたらす運動神経の活動性異常に男女差があることが、金沢大理工学域(金沢市)フロンティア工学系の西川裕一准教授らの研究で分かった。
▽進行速い女性
パーキンソン病は、脳の中央に位置し、運動調節などに関わる「黒質」と呼ばれる組織の神経が障害されて発症する。リスク因子の一つが加齢で、特に60歳を過ぎると起こりやすく、患者の約6割を75歳以上が占める。
近年の研究から、パーキンソン病には男女差があることが分かってきた。「男性では認知症を合併するリスクが高いこと、女性では症状として震えが目立ちます。女性の方が病状の進行が速い、薬剤やリハビリなどの治療を行っても症状の改善が得られにくい、といった報告もあります」と西川准教授は説明する。
ただし、震えなどの運動症状を引き起こす原因となる、運動に関わる神経や筋肉の機能の異常について、男女で比較する研究は行われていなかった。
▽左右差顕著
西川准教授らは、症状が同じ程度のパーキンソン病患者27人(女性14人、平均年齢は男女とも約70歳)を対象に、「運動単位」の活動パターンを比較した。運動単位とは、脳からの「動かせ」という指令を伝える運動神経と、その指令で実際に運動する複数の筋線維をひとまとめにした領域を指す。この活動パターンを、運動神経が興奮するときに発生する電気信号を高精度に測定できる「高密度表面筋電図法」で解析した。
その結果、女性では、運動単位の活動間隔のばらつきが男性よりも大きく、安定しないことが分かった。
筋電図測定は左右の太ももで行い、症状が強い側の大腿(だいたい、太もも)と弱い側の大腿における筋活動の差が女性で顕著だった。さらに、活動頻度や神経の興奮性の指標の左右差も女性の方が大きかった。
「女性患者の目に見える症状が男性患者と同じでも、運動神経の活動性では、より深刻な変化が進んでいる可能性があります」と西川准教授。表面に出にくいパーキンソン病の進行を工学的なアプローチで可視化した今回の研究について、「女性により適切な治療法の開発、さらに運動神経の活動性パターンに基づいた個別化治療の開発につながる」と期待を寄せる。(メディカルトリビューン=時事)
◇ ◇
金沢大理工学域の所在地 〒920―1192 金沢市角間町 電話076(234)6821














