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インクレチン薬で急性膵炎リスク上昇せず

150万人超のコホート症例対照研究

 2016年08月10日 07:20
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 インクレチン関連薬は急性膵炎リスクを上昇させない。インクレチン関連薬と急性膵炎リスクの関係を他の経口糖尿病治療薬2剤以上併用と比べた、2型糖尿病患者150万人以上を対象とした国際多施設コホート症例対照研究の結果をカナダ・Jewish General HospitalのLaurent Azoulay氏らがJAMA intern med2016年8月1日オンライン版)で報告した。

2剤併用群を基準に急性膵炎入院リスクを算出

 3カ国(カナダ、米、英)7カ所の医療記録データベースを用いて、2007年1月~13年6月にインスリン以外の糖尿病治療薬の使用を開始(追加・変更を含む)した2型糖尿病患者153万2,513例を対象に、2014年6月まで追跡調査を行った。登録時に18歳未満、インスリン使用歴、多囊胞性卵巣症候群、糖尿病治療薬使用開始前1年以内の妊娠糖尿病歴などに該当する患者、および、膵がん、膵切除歴、囊胞性線維症、全身性エリテマトーデス、肥満手術歴、HIV感染またはHAART継続中、急性膵炎による入院から30日以内などに該当する患者は除外した。

 コホート内症例対照研究における症例群は急性膵炎による入院患者とし、1症例につき性・年齢、コホート・エントリーの時期、コホート・エントリー前の糖尿病治療薬継続期間、追跡期間をマッチングさせた最大20例までを対照に設定した。

 主解析では、現在2剤以上の経口糖尿病治療薬(インクレチン関連薬、インスリンを除く)を使用中の患者を基準として、インクレチン関連薬を使用中の患者における急性膵炎による入院のハザード比(HR)と95%信頼区間(CI)を算出・比較した(研究参加地域ごとのHRにランダム効果モデルを適用するとともに、複数の潜在的交絡因子によるHRの調整を行った)。二次解析では急性膵炎による入院リスクが薬剤クラス(DPP-4阻害薬、GLP-1受容体作動薬)やインクレチン関連薬継続期間、急性/慢性膵炎の既往により異なるかどうかを評価した。

クラスによるリスクの違いもない

 解析対象としたコホート153万2,513例のうち男性は78万1,567例(51.0%、平均年齢56.6歳)。追跡期間は平均2.3年(346万4,659人・年)で、同期間中の急性膵炎による入院は5,165例(粗発症率1.49/1,000人・年、95%CI 1.45~1.53)であった。

 経口糖尿病治療薬2剤以上群と比べ、インクレチン関連薬群では女性が多く、糖尿病治療薬使用期間は長く、肥満傾向にあった。胆石やがんの既往はインクレチン関連薬群で多かったが、急性/慢性膵炎の既往に群間差は認められなかった。

 主解析の結果、2剤以上の経口糖尿病治療薬の使用を基準とした場合、インクレチン関連薬の使用は急性膵炎リスクの上昇とは関連していなかった(プールした調整HR 1.03、95%CI 0.87~1.22)。

表. インクレチン関連薬の使用と急性膵炎発症率との関連

表

JAMA intern med 2016年8月1日オンライン版)

 二次解析では、インクレチン関連薬のクラスによる急性膵炎リスクの違いは見られなかった(DPP-4阻害薬:プールした調整HR 1.09、95%CI 0.86~1.38、 GLP-1受容体作動薬:同1.04、0.81~1.35)。

 投与継続期間とリスクとの連関を示すエビデンスは示されなかった。加えて、急性および慢性膵炎の既往の有無による効果修飾のエビデンスも示されなかった(既往なし:プールした調整HR 1.05、95%CI 0.86~1.27、既往あり:同0.70、 0.42~1.17、相互作用のP=0.20)。

 Azoulay氏は「今回の人口集団ベースの大規模試験では、インクレチン関連薬の使用は他の経口糖尿病治療薬2剤以上併用と比べ、急性膵炎リスクの上昇にはつながっていなかった。急性膵炎とインクレチン関連薬との関連が完全に否定されたわけではないが、今回の解析における95%CIの上限を見る限り、こうしたリスクは小さいと考えられるのではないか」と結んだ。

古川忠広

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