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ワルファリンの出血傾向を是正する新薬登場

乾燥濃縮人プロトロビン複合体製剤「ケイセントラ」

 2017年09月27日 06:10
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 CSLベーリングは9月19日、ワルファリンに代表されるビタミンK拮抗薬療法時の出血傾向を抑制する国内初の乾燥濃縮人プロトロビン複合体製剤(商品名「ケイセントラ静注用500、1000」、以下同製剤)を発売した。同製剤の記者発表会が15日に東京都内で行われ、同社代表取締役社長のジャン・マルク モランジュ氏と九州医療センター脳血管センター部長の矢坂正弘氏が登壇、抗凝固療法時に同製剤が果たす役割などについて説明した。

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日本脳卒中学会が早期開発を要望

 現在日本では、心原性脳塞栓症や肺塞栓症などで約125万人が血栓の形成を抑えるためにビタミンK拮抗薬のワルファリンを使用している。しかし、ワルファリンによる抗凝固療法では出血リスクが高まることから厳重な管理が必要とされる。そのため、日本脳卒中学会が同製剤の早期開発を要望するなど、医療現場からは出血傾向を抑える薬剤の開発が待望されていた。

 そこで同社は、厚生労働省の要請を受けて、2012年4月に同製剤の開発に着手。今年(2017年)3月に承認を受け、この度の発売に至った。記者発表でモランジュ氏は「乾燥濃縮人プロトロビン複合体製剤は、まさに患者の生命を救う薬だ。当社は、この製剤を必要とする全ての日本の患者や医師に提供できることを、大変誇りに思う」と述べ、重要性をアピールした。

国内外の試験で出血効果の速やかな是正を確認

 続いて登壇した矢坂氏は、ワルファリン服用時の出血リスクに言及。脳梗塞患者の院内死亡原因の第1位は頭蓋内出血と消化管出血であるという研究結果(Am J Cardiol 2012; 109: 543-549)を紹介した上で、「出血性合併症に注意しなければ、なんのために抗凝固療法を行っているか分からない」と指摘した。

 同氏は、乾燥濃縮人プロトロビン複合体製剤の有効性を検証した3件の試験を紹介。米国で行われた「3002試験(海外第Ⅲ相臨床試験)」では、ワルファリン使用に起因する抗凝固状態の患者216例について、同製剤を投与した107例と新鮮凍結血漿を投与した109例で比較。その結果、ワルファリンの効果を表す指標であるプロトロンビン時間国際標準比(PT-INR)が30分以内に低下した割合は、前者の62.2%に対し、後者では9.6%と同製剤による出血傾向の速やかな是正が認められた。

 また、同じく米国の「3003試験(海外第Ⅲ相臨床試験)」では、緊急の外科手術を要する患者181例について、乾燥濃縮人プロトロビン複合体製剤を投与した90例と新鮮凍結血漿を投与した91例で比較。同試験でも、PT-INRが30分以内に低下した割合は、前者の55.2%に対し、後者では9.9%だった。

 これらの試験結果を受け、日本国内でも「3004試験(国内第Ⅲ相臨床試験)」を実施。ビタミンK拮抗薬に起因する抗凝固状態で、重篤出血症状を有するまたは緊急の外科手術を要する日本人患者11例に対し、乾燥濃縮人プロトロビン複合体製剤投与後30分のPT-INRを測定したところ、ベースライン時の3.13から1.15に低下していた。

 1996年に世界に先駆けドイツで「Beriplex」の商品名で承認され、2013年の米国での承認を経て、この度日本で承認・販売される運びとなった乾燥濃縮人プロトロビン複合体製剤。これら3件の試験結果を踏まえ、同氏は「ワルファリンは幅広い適用があり、今後も使用は継続されるが、出血性合併症への注意が必要だ。ワルファリンによる出血性合併症の緊急是正という点において、同製剤は非常に期待される」と述べた。

(平山茂樹)
  

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