統合プログラム5(パネルディスカッション) 10月29日 9:00〜12:00 第3会場/神戸国際展示場(2号館) 3A会議室(3F) --> シンポジウム13(日本消化器外科学会・日本消化器病学会) 11月1日(土) 14:00~17:00 第5会場(神戸ポートピアホテル南館 大輪田A) [司会] 比企 直樹 氏 北里大・上部消化管外科 水島 恒和 氏 獨協医大・下部消化管外科 炭山 和毅 氏 東京慈恵会医大・内視鏡医学 [演者] 藤田 文彦 氏 久留米大・消化器外科 植村 守 氏 大阪大大学院・消化器外科学 西沢 佑次郎 氏 大阪急性期・総合医療センター・消化器外科 山本 真也 氏 豊川市民病院・消化器外科 廣川 高久 氏 刈谷豊田総合病院・消化器・一般外科 沼田 正勝 氏 横浜市立大市民総合医療センター・消化器病センター外科 横田 満 氏 倉敷中央病院・外科 山田 典和 氏 関西医大・下部消化管外科 伊藤 直 氏 名古屋市立大・消化器外科 坂東 悦郎 氏 静岡がんセンター・胃外科 平松 良浩 氏 浜松医大・周術期等生活機能支援学、浜松医大・2外科 小嶋 一幸 氏 獨協医大・上部消化管外科 [特別発言] 掛地 吉弘 氏 神戸大大学院・食道胃腸外科学 --> 消化管がんに対するロボット支援手術は、保険適用の拡大や術者要件の緩和を背景に急速に導入が進んでいる。特に,患者利益が大きい胃がん,大腸がん手術では重要性が増しており、1990年代に普及した腹腔鏡手術からロボット支援手術への移行が加速している。一方で、ロボット支援手術は腹腔鏡手術に比べて歴史が浅く、術式の定型化や教育法の確立が求められている。このような背景を踏まえ、司会の水島恒和氏は「本セッションを通じ、若手消化器外科医には執刀環境が整いつつあることを実感していただき、ベテラン外科医には安全かつ効果的な教育体制の構築に役立ててほしい」と話す。 安全かつ時間厳守目指し、各施設が取り組みを紹介 安全性の確立や治療成績の蓄積が進み、保険適用の拡大などもあって、消化器がんに対するロボット支援手術はより多くの患者に施行する段階に突入した。複数の手術支援ロボットを導入している施設もあり、水島氏は「ロボット支援手術を行える若手消化器外科医の育成が欠かせない」と強調する。 本セッションは10演題で構成され、最初に基調講演として藤田文彦氏が登壇し、最後に小嶋一幸氏が特別発言を行う。 先行の7演題は大腸がんに関する講演である。植村守氏は、腹腔鏡手術で培った技術を定型化するなど手技の統一化を図っており、鉗子を操作する助手のサポートがあるマタドール展開を活用した効率的なロボット支援大腸がん手術教育を紹介する。西沢佑次郎氏は、レジデントと若手スタッフの両者が学ぶ機会となる教育体制が理想と考え、2022年から取り組んでいるレジデントの執刀時に若手スタッフが指導を担うロボット支援手術教育体制について解説する。 若手外科医の教育機会を確保しながら、安全に手術を遂行することは必須である。自施設での大腸がん手術は80%以上がロボット支援手術で行われているという山本真也氏は、複数術者でロボット支援手術を分担する"Role Sharing"と、単一術者による手術の成績を比較した研究を発表する。また廣川高久氏は、若手外科医に手術操作の基本である「切開」「切離」「剝離」を意識させて、その操作に必要な展開を考えさせる独自の教育法を紹介するとともに、上級医による手術成績と比較した結果を報告する。 沼田正勝氏は、医師の働き方改革に伴いこれまで以上に手術室の定時運用が求められるとし、時間内での手術終了を目指す上で導入したTime Structured Approach (TSA)による定時運用への寄与に関する報告を行う。また横田満氏の施設では、ロボット支援手術時に指導医が術野に入りレジデントへの指導と補助を行い、時間内で安全に手術を終了する取り組みを行っており、手術トレーニングと術中指導を受けたレジデント執刀による手術成績を発表する。術者による差を是正すべく、自施設でロボット支援手術特有の鉗子動作や手術手順を言語化・定型化し、第一助手に指導医がつく体制を敷く山田典和氏は、言語化・定型化による安全なロボット支援手術の導入について報告する。 残る3演題は、胃がんに対するロボット支援手術について取り上げる。伊藤直氏は、自施設で開発したロボット支援手術教育法Role Sharing Surgery(RSS)を用いた手術時間の厳格管理の結果を解説。ロボット台数を増やし、技術認定非取得医によるロボット支援手術を開始したことに伴い、坂東悦郎氏は当該科での認定医・非認定医に対する胃がんロボット支援手術教育に関する評価結果を共有する。開腹手術とは異なる点が多く、件数も減少している胃がん手術では、より効率的な指導を目指す教育システムの改革が期待されており、平松良浩氏は効率的な教育を行う上での工夫点や、若手医師が執刀した手術成績などを示す。 消化器外科医が著しく減少した現状を踏まえ、水島氏は「現状では、全ての症例でロボット支援手術を実施できる状況にない消化器疾患において、経験豊富な外科医だけが執刀するようであれば、消化器外科を目指す若手の意志を阻んでしまう」と指摘。「セッションに参加し、若手外科医もロボット支援手術を安全に行える時代を迎えたことを実感してほしい」と述べる。「ロボット支援手術ではデュアルコンソールシステムが導入されており、各施設がこれをどのように用いて若手教育を行っているのか、ぜひ議論してほしい」と呼びかける。 表. 本セッションの見どころ (田中直樹氏提供) --> ※本記事の内容は取材時点での情報です。当日に変更となる場合があります。 MTウェブ JDDW2025 TOP JDDW2025 公式サイト 第68回日本消化器病学会大会 [会長]海野 倫明 東北大学大学院 消化器外科学 第112回日本消化器内視鏡学会総会 [会長]石原 立 大阪国際がんセンター 消化管内科 第30回日本肝臓学会大会 [会長]波多野 悦朗 京都大学大学院 肝胆膵・移植外科 第24回日本消化器外科学会大会 [会長]上野 秀樹 防衛医科大学校 外科 第64回日本消化器がん検診学会大会 [会長]三上 達也 弘前大学大学院 先制医療学