小林製薬の紅麹(べにこうじ)サプリメントによる健康被害を巡り、東京科学大の研究チームは5日までに、原因物質と特定された青カビ由来の「プベルル酸」が腎障害を引き起こす仕組みの一端を明らかにしたと発表した。これまで原因物質は判明していたものの、どのように腎臓が傷つくのかは分かっていなかった。 プベルル酸は腎臓の細胞内でエネルギーをつくるミトコンドリアの働きを低下させていた。これにより尿細管細胞が壊死(えし)し、腎機能の悪化につながるという。 森雄太郎助教らの研究チームは、問題となったサプリとプベルル酸をそれぞれマウスに投与。その結果、いずれのマウスも腎機能の悪化を示す数値が上昇し、尿細管の損傷や、組織が硬くなる「線維化」も確認された。 さらに、腎臓の遺伝子の働きを解析した結果、ミトコンドリアに関わる遺伝子の働きが低下し、エネルギーに変換させる機能が妨げられていた。 ヒトの腎臓から作製した細胞や、立体的に再現した「オルガノイド」でも同様の現象を確認した。細胞が死ぬ前の段階でミトコンドリアの働きが低下し、細胞のエネルギー源となる物質「アデノシン三リン酸(ATP)」が減少する一方で活性酸素が増えており、ミトコンドリア障害が細胞死の引き金になっている可能性が高いという。 森助教は「サプリによる腎障害の重要な経路が見えてきた。将来的には後遺症に悩む患者の予後評価や、治療法の手掛かりになる可能性がある」と話した。 (2026年3月5日 時事メディカル)