グローバル、カフェ、オンラインMR――学会展示に見る企業戦略

第48回日本造血・免疫細胞療法学会・企業展示ブース

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感染症ビジョナリーズ 感染症ビジョナリーズ

 2月27日~3月1日、東京国際フォーラムで第48回日本造血・免疫細胞療法学会が開催された。企業展示ブースでは各社が最新の治療薬やパイプライン、デバイスなどを紹介。製品特性や開発コンセプトを表現した演出からは、各社の戦略やメッセージが垣間見えた。

グローバル共通モチーフで血液がん領域の存在感を強調:ファイザー

 ファイザーの展示ブースでは、エルラナタマブ(商品名エルレフィオ)、イノツズマブ オゾガマイシン(商品名ベスポンサ)、ボスチニブ(商品名ボシュリフ)といった血液がん領域の製品を前面に打ち出した構成が目を引いた。ブースには血液がんを象徴するグローバル共通のイメージキャラクターが大きく掲出され、同社がこの領域で多様な製品ラインアップを有することを視覚的に印象付けていた。

 中でも特に注力している製品として紹介されていたのがエルラナタマブだ。展示ビジュアルには、男性がロッククライミングに挑む姿が用いられ、困難に立ち向かいながら高みを目指すイメージを重ね合わせた演出となっていた。

 さらにブースでは、エルラナタマブが二重特異性抗体(バイスペシフィック抗体)である点を想起させるネーミングのドリンクを提供(コダマ飲料「バイスサワー」)するなど、来場者の印象に残る工夫が施されていた。製品特性とブランドメッセージを体験的に結び付ける演出からは、グローバル戦略と日本市場での認知拡大の双方を意識した取り組みがうかがえた。

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レゴで「DuoBody」の構造を表現:ジェンマブ

 ジェンマブのブースでは、二重特異性抗体エプコリタマブ(商品名エプキンリ)を中心とした展示が行われた。中でも目を引いたのは、LEGO(レゴ)ブロックを用いた立体的な演出である。

 デンマーク発祥の同社は、同じくデンマーク生まれのレゴを用いて、独自の二重特異性抗体製造技術「DuoBody」を視覚的に表現。異なるパーツが組み合わさることで1つの機能を発揮する様子が示され、二重特異性抗体の構造やコンセプトを直感的に理解できる展示となっていた。遊び心を感じさせつつも、技術的特徴を分かりやすく伝える工夫が印象的だった。

 ブース全体は製品カラーである青を基調に統一。複数のモニターで臨床試験データを紹介するなど、視覚的インパクトだけでなくエビデンスの理解促進にも配慮した構成となっていた。革新的モダリティへの理解を深めてもらうことを意識した、教育的要素の強い展示であった。

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カフェのような開放空間でブランド認知を図る:アッヴィ

 アッヴィのブースでは、ベネトクラクス(商品名ベネクレクスタ)を中心に据えた展示が行われた。緑の葉をあしらったナチュラルな装飾を施し、カフェのような落ち着いた雰囲気の空間を演出。学会場の中でもリラックスした空気感を漂わせるブースとなっていた。こうしたコンセプトは、同社がこれまで出展してきた学会でも一貫して採用しているという。

 ブースは3方向から出入りできる開放的な設計とし、来場者が気軽に立ち寄れる動線を意識。自然な動線をつくることで情報提供のハードルを下げ、担当者との対話が生まれやすい空間となっていた。

 また、会場では企業名「AbbVie」の由来を紹介するパンフレットも配布された。Abbは創業母体であるアボット(Abbott)を、Vieは「生命」を意味する言葉に由来するという。製品情報にとどまらず企業の理念や背景にも触れることで、企業ブランドへの理解と認知向上を図る取り組みが印象的だった。成熟市場において、製品ブランドと企業ブランドの双方を浸透させようとする同社の姿勢がうかがえる展示であった。

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通路に構えたブースでオンラインMRを訴求:アステラス製薬

 アステラス製薬は、ギルテリチニブ(商品名ゾスパタ)を中心に展示を展開した。ブースはホール棟とガラス棟をつなぐ通路沿いに設けられ、メイン展示エリアの喧騒からやや離れた位置で来場者にアプローチしていた。移動中の医師が足を止めやすく、落ち着いて対話できる空間設計は、同社が推進する「継続的な接点づくり」という戦略を体現しているように映った。

 同社はオンライン医薬情報担当者(MR)の活用に注力しており、オンコロジー領域でも専任担当を配置。医師にとっては、診療や研究の合間に短時間で情報収集ができることや、必要なタイミングで面談を設定できること、さらには地理的制約を受けずに最新情報にアクセスできる点などが利点とされる。対面活動を補完する形でデジタルチャネルを組み合わせる、ハイブリッド型の情報提供体制の構築が進んでいる。

 細胞療法や分子標的薬など治療選択肢が拡大する中で、情報提供の在り方そのものを再設計しようとする同社の姿勢がうかがえた。

造血・免疫細胞療法の質を担保する最新デバイス:日本ベクトン・ディッキンソン

 造血器腫瘍の診断から治療モニタリングにおいて不可欠なフローサイトメトリー分野では、日本ベクトン・ディッキンソンが「臨床検査用 BD FACSLyric フローサイトメーター」を提示した。

 同装置は、本体、ソフトウエア、試薬、技術サービスを統合することで、施設間および装置間の測定誤差を最小化し、高い再現性を実現。特にキメラ抗原受容体発現T細胞(CAR-T)療法における治療後モニタリングなど、高度な精度管理が求められる臨床現場のニーズに応じた仕様となっている。

(第48回日本造血・免疫細胞療法学会取材班)

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