診断・治療・教育を変える-最新内視鏡技術
第111回日本消化器内視鏡学会・企業展示ブース
5月8~10日にパシフィコ横浜で第111回日本消化器内視鏡学会が開催された。内視鏡医学における最新の技術やデバイスが一堂に会し、企業展示ブースでは診断から治療、教育支援に至るまで幅広いソリューションが提示され、内視鏡医療の高度化と効率化の進展が印象的だった。

精度を極める-最新の診断・画像技術
オリンパスマーケティングのブースでは、検査から治療までを包括的に支援する最新のデバイス群が注目を集めた。大腸ステントBactrian SR大腸ステントは、Proximal Releaseが可能な独自のデリバリーシステムを採用することで、留置時の位置ずれを抑制。また、がん細胞の侵入による大腸の再閉塞を抑制するジャバラ大腸ステントは、フルカバードとパーシャルカバードが選択可能で、症例に応じた柔軟な対応を実現した。さらに、糸を編み込んだ独自構造を持つスプライダー胃十二指腸ステントは、高い柔軟性と優れたフィット性を両立し、消化管への負荷軽減が期待される点が強調された。
画像診断分野では、解像度と深部透過性を高めることで、より精細な超音波イメージングの描出を可能としたAplio i800 EUSを紹介。最新の高画質モニターOEV-321MUHも参考展示され、内視鏡画像の視認性向上への取り組みが示された。

低侵襲治療を支える-デバイスの革新
ボストン・サイエンティフィック ジャパンは、膵臓用瘻孔形成補綴材Hot AXIOS Systemを前面に打ち出した。同システムは、急性膵炎に伴う局所合併症(膵仮性囊胞、被包化壊死)の治療や胆囊ドレナージを目的とした国内初の専用デバイス。デリバリーシステム先端部の高周波通電により壁を切開して補綴材を挿入するため、同製品のみで一期的な瘻孔形成が可能となり、手技時間の短縮と合併症リスク低減への寄与が期待される。また、両端が大きいフランジが高い把持力を発揮、補綴材留置後の安定性とドレナージ効果の向上を実現した点が特徴で、低侵襲治療の選択肢として存在感を高めている。
島津製作所は、X線テレビシステムSONIALVISION G4 LX edition-SRを紹介。独自のデジタル画像処理エンジンSCORE PRO Advanceを採用することで低線量と高画質を両立し、透視下でもノイズ低減および対象構造の強調をリアルタイムで実現する。加えて、デバイス強調透視DeEPの搭載により、ステントやガイドワイヤなど視認性の低いデバイスでもX線量を増やすことなく明瞭に描出でき、手技の安全性と効率性向上に寄与する点が示された。最新バージョンではこれらの機能がさらに強化され、臨床現場での実装が予定されている。
Medtronic(コヴィディエンジャパン)は、小腸カプセル内視鏡システムに対応するPillCam Software v9.0Eを紹介。同ソフトウエアは検査データの読影を支援する専用プラットフォームで、読影アルゴリズムを改良し診断効率の向上が図られている。カプセル内視鏡検査は読影負荷の大きさが課題となっているが、読影支援サービスの進化により医師の負担軽減と診断精度の両立が期待される。
次世代を育てる-シミュレーションとXR
Holoeyesは、医療用画像処理ソフトウエアHoloeyes MDと、拡張サービスであるHoloeyes VSを展示した。Holoeyes MDは、CTやMRIなどの画像データを三次元(3D)化し診療に提供するプログラム。ヘッドセットを用いて立体的に表示することで術前シミュレーションや手術支援に活用できる。3Dモデルは任意の角度から観察可能で、複雑な解剖構造の把握を直感的に行えるという強みがある。さらに、Holoeyes VSは複数のユーザーによる同一3Dモデルの共有機能を提供することで、遠隔カンファレンスや教育用途への応用が期待される。
タナックは、消化管内視鏡シミュレータEASYを紹介。同社は医師および看護師との共同開発により、独自素材を用いてポリープ切除や縫縮といった手技をリアルに再現している点が特徴である。ポリープや腫瘍周囲の正常組織を含めたトレーニングが可能で、セッティングも簡便なことから、日常的な手技トレーニング環境の整備に寄与する。
IFJ/Forest Groupは、内視鏡ビデオ画像プロセッサモノステレオ MS-301を展示した。同製品は二次元(2D)内視鏡画像をリアルタイムに3Dへと変換する技術を有し、既存の内視鏡システムとの連携が可能である。従来、3D内視鏡ではスコープ径の増大が課題となる場合があったが、同システムではその懸念を回避しつつ立体視を実現できるため、内視鏡診療における視覚情報の高度化に寄与する技術として注目される。
今回の企業展示は、内視鏡デバイスの高性能化だけでなく、画像処理、人工知能(AI)・ソフトウエア、教育・トレーニング、さらにはExtended reality(XR)技術の導入といった多面的な進化を反映しており、消化器内視鏡領域のさらなる発展が示唆された。
(第111回日本消化器内視鏡学会取材班)
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