抗真菌薬アムホテリシンBの取り違えで死亡例
ファンギゾンとアムビゾーム、用量に大きな違い
医薬品医療機器総合機構(PMDA)は本日(10月30日)、深在性抗真菌薬アムホテリシンB(商品名ファンギゾン注射用50mg、アムビゾーム点滴静注用50mg)の取り違えにより、ファンギゾンが過量投与されて死亡した事例が1例報告されたとして、製造販売元であるチェプラファームと住友ファーマが注意喚起を行ったと発表した。両薬は有効成分が同じだが、用法・用量や調製方法が大きく異なり、同じ用量で置き換えることはできない。両社は処方時に商品名や投与量を確認するよう呼びかけている。(関連記事「取り違え注意!『ゾフルーザ』と『ゾコーバ』」)
アムビゾームを想定した処方でファンギゾンを投与
ファンギゾンはアムホテリシンBのデオキシコール酸塩製剤、アムビゾームは同成分のリポソーム製剤である。真菌感染症に対する通常投与量は、前者が0.25~0.5mg/kg/日、後者が2.5~5mg/kg/日と大きく異なる。また、投与時間もそれぞれ3~6時間以上、1~2時間以上と異なり、調製方法にも違いがある。
今回、両社が紹介したのは、日本医療機能評価機構「医療事故情報収集等事業」に報告された死亡事例。
症例は心不全を併存する移植後の患者で、集中治療室(ICU)で全身管理中に心不全からショック、多臓器不全を呈した。抗真菌薬の変更に際し、外科医師から相談を受けた内科医師は、アムビゾームを想定して「アムホテリシンB 5mg/kg 1日1回、1~2時間かけて投与」とカルテに記載。しかし、外科医師はカルテを参照しつつも、ファンギゾン250mg(約5mg/kg、通常投与量の上限の約10倍)を重症部門専用のシステムで指示した。
投与1時間後に患者は心静止となり、死亡。翌日、ファンギゾンの投与量、濃度、速度が過剰だったことが判明した。
取り違えの背景として、処方した医師がアムホテリシンB注射剤として2種類の製品が採用されていることを十分に認識していなかった点が挙げられた。また、処方に使用したシステムには上限用量のチェック機構がなく、警告も表示されなかった。さらに、重症部門では病棟薬剤師による投与前の監査が必須ではなく、夜間は監査なしに投与される運用だった。各部署の使用薬剤の一括請求を目的とする注射剤伝票には用法・用量などの記載がなく、薬剤部での処方監査も行われていなかったという。
オーダーシステムの警告表示や周知徹底も要請
今回の事例を踏まえ、両社は処方オーダー、処方監査、調製、投与の各段階で、一般名だけでなく商品名、用法・用量を確認するよう求めている。
処方オーダーシステムにおける対策としては、一般名「アムホテリシンB」で検索してファンギゾンまたはアムビゾームを選択した際、同一成分を含む別製剤と投与量が異なることを知らせる警告を表示する方法を例示した。
また、両薬を取り違えやすい医薬品として認識する機会を設けることや、新たに配属された医師・薬剤師への周知徹底を要請。商品名や用法・用量などを記載した比較表を薬局内に掲示するなど、取り違え防止策の実施を呼びかけている。
図.ファンギゾン注射用50mgとアムビゾーム点滴静注用50mgの違い

(チェプラファーム、住友ファーマ発表資料)
(編集部・関根雄人)
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