炭酸リチウムの妊婦禁忌を削除

注射用鉄剤は低リン血症、骨軟化症の注意喚起追加

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 厚生労働省は昨日(6月16日)付で医薬局医薬安全対策課長通知(医薬安発0616第1号)を発出。①気分安定薬の炭酸リチウム(商品名リーマスなど)の「妊婦禁忌」を削除②鉄欠乏性貧血治療薬の注射用鉄剤は「重大な副作用」の項に「低リン血症と骨軟化症」を新設など、③抗菌薬のスルファメトキサゾール・トリメトプリム配合錠(ST合剤、商品名バクタなど)は「重大な副作用」の項に「急性汎発性発疹性膿疱症」を追加する-ことなど、添付文書の「使用上の注意」の改訂を指示した。(関連記事「炭酸リチウム、いまだ半数超で血中濃度測定されず」)

 

炭酸リチウム: 国立成育医療研究センターなどのWGが禁忌削除の妥当性を検討

 炭酸リチウムは、開発時に複数の動物実験で催奇形性が認められ、疫学研究ではヒトにおいても先天性心血管異常の頻度増大が報告されたことから、「妊婦または妊娠している可能性のある⼥性」は禁忌とされていた。

 同薬の効能・効果は「躁病および躁うつ病の躁状態」だが、双極症の躁状態、うつ状態(適応外)、維持期(適応外)にも用いられ、双極症治療において不可欠な薬剤の1つとなっている。

 さらに、①双極症の好発年齢は妊娠可能年齢と重なる、②治療を中断しなかった患者と比べ、中断した患者では妊娠中(37% vs. 80%以上)、産後(23% vs. 66%)の再発リスクが高い、③産後の再発は自殺や虐待のリスクを高める、④海外では妊婦への処方が禁忌とされていない-ことなどから、妊婦禁忌の見直しが求められていた。

 こうした背景の下、日本精神神経学会は厚労省「妊婦・授乳婦を対象とした薬の適正使用推進事業」の情報提供ワーキンググループ(WG)に対し、炭酸リチウムの妊婦禁忌解除を希望する要望書を提出。国立成育医療研究センター妊娠と薬情報センターなどから成るWGがその妥当性について検討した。

 WGは、海外添付文書の記載状況、動物実験、臨床使用成績、国内外の成書・ガイドラインなどを調査した。その結果、動物実験では臨床曝露域を大きく超える用量でのみ催奇形性が認められ、ヒトでの疫学研究では調剤・保険請求データを用いた研究で心奇形リスク上昇を示す報告がある一方、前向きコホート研究では同様の結果は得られていないことなどを確認。

 炭酸リチウムの妊娠に係るリスクについて添付文書で注意喚起することを前提に、「禁忌」の項から「妊婦又は妊娠している可能性のある女性を削除し、「妊婦」の項に「妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上やむを得ないと判断される場合を除き、投与しない」旨の注意喚起を記載することが適切と判断した。

注射用鉄剤:因果関係が否定できない国内症例が集積

 注射用鉄剤の3製品〔①カルボキシマルトース第二鉄(商品名フェインジェクト)、②含糖酸化鉄(フェジン)、③デルイソマルトース第二鉄(モノヴァー)〕については、国内の低リン血症関連事象および骨軟化症関連事象を評価した。

 その結果、低リン血症関連症例が①で61例(因果関係が否定できない重篤例2例)、②で56例(同0例)、③で1例(同0例)集積、骨軟化症関連症例は、①で8例(因果関係が否定できない重篤例2例)、②で35例(同0例)集積した。

 いずれも死亡例はなかったものの、①と②に関しては因果関係が否定できない症例が認められたため、専門員の意見も聴取した結果、使用上の注意改訂が適切と判断した。一方で③については、現時点の改訂は不要とされた。

 改訂の概要は以下の通り。

カルボキシマルトース第二鉄:重大な副作用」の項に「低リン血症、骨軟化症」を、「重要な基本的注意」の項に両疾患に関する注意喚起を新設

含糖酸化鉄:重大な副作用」の項に「骨軟化症」を追加、「重要な基本的注意」の項に両疾患に関する注意喚起を新設

ST合剤:因果関係が否定できない急性汎発性発疹性膿疱症が4例

 ST合剤については、急性汎発性発疹性膿疱症症例を評価した結果、国内症例が12例(因果関係が否定できない症例4例)確認された。死亡例はなかったものの、専門委員の意見も踏まえ、経口薬・注射薬ともに「重大な副作用」の項に「急性汎発性発疹性膿疱症」を追加することが適切と判断された。

 この他、EZH1/2阻害薬のバレメトスタット(商品名エザルミア)については、国内で二次性悪性腫瘍関連症例が11例(因果関係が否定できない症例0例)、死亡が2例(同0例)集積。因果関係が否定できない症例はなかったものの、同クラス薬の状況や非臨床試験の結果などを考慮し、「重要な基本的注意」の項に「急性骨髄性白血病、骨髄異形成症候群などの二次性悪性腫瘍」に関する注意喚起を新設した。

 詳細は、厚労省の「医薬安発0616第1号」を参照されたい。

編集部・関根雄人

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