JDDW 2026:消化器病診療の進歩を次の世代へ

日本消化器関連学会機構(Organization of JDDW) 理事長
小池 和彦

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※氏名は敬称略

小池 和彦

――消化器病領域の現状と、JDDW 2026の意義についてお聞かせください。

 日本は超高齢社会を迎え、それに対応した医療のあり方が求められる中、消化器病診療では、高齢者にも安全に提供できる低侵襲治療をさらに発展させることが重要になっています。こうした背景もあり、日本が世界をリードしてきた内視鏡治療はより一層進歩し、ロボット支援手術が普及するとともに、人工知能(AI)やビッグデータを活用した診断・治療も臨床に広がり始めています。

 JDDW 2026の統合プログラムには、「消化器病診療のパラダイムシフト:高齢化社会を見据えて」「消化器疾患に対する低侵襲治療の進化と功罪」「ビッグデータから紐解く今後の消化器病診療」など、現在の課題に正面から向き合うテーマが並びます。ロボット支援手術や内視鏡治療には、利点だけでなく合併症などのリスクや限界もあり、今後、適応を広げていく上では内科医と外科医との連携が欠かせません。内科系・外科系を含む5学会が一堂に会するJDDWだからこそ、診療科の枠を越えて、最新技術を安全に実装するための議論ができると考えています。

――JDDWが進めてきた取り組みには、どのような成果が表れていますか。

 国際化を象徴するのが、日本、韓国、台湾によるJoint Session between JKT-DDWです。第10回となる今回は、炎症性腸疾患、胃がん治療の国際標準化、経口胆膵内視鏡、肝硬変合併症の診療指針を取り上げます。回を重ねる中で互いの強みを生かし、3カ国が世界へ発信する基盤を築いてきました。その成果の1つが、B型肝炎に起因する肝がんの研究です。欧米と比べて患者が多い日本、韓国、台湾が蓄積してきた経験を持ち寄り、B型肝炎や肝がんの最新知見を世界に示してきました。また、ヘリコバクター・ピロリの除菌と胃がん予防においても、日本の取り組みに韓国や台湾の成果が加わり、東アジア全体での研究と対策が大きく前進しました。

 人材育成でも着実な変化が表れています。女性医師が消化器外科や消化器内科の指導的な立場に就く例が増え、若い世代が新たなキャリア像を描けるようになってきました。特にロボット支援手術の普及は、長時間の手術に伴う身体的負担を軽減し、体力面でのハードルを下げる可能性があります。技術の革新と組織の意識改革が融合することで、女性を含む多様な人材が活躍できる場が広がっています。今年の女性医師・研究者プログラムでは「Diversity & Inclusionを踏まえた医療者の将来像」を掲げ、女性医師だけでなく、男性医師の育児・家庭参画、多職種の意思決定、地域医療の人材確保なども取り上げます。

――JDDW 2026で、特に注目してほしいプログラムを教えてください。

 International SessionやStrategic International Sessionでは、海外の専門家を招き、各分野の最新動向について議論します。肝がんマネジメントをめぐる米国肝臓学会とのジョイントシンポジウムをはじめ、NSAIDs起因性消化管障害、十二指腸乳頭部腫瘍、大腸がん肝転移など、多彩な国際セッションが予定されています。

 若手医師には、最先端の内視鏡技術を学べるハンズオンセミナーへの参加に加えて、5学会の会長講演を、是非、聴いてほしいと思います。長年にわたり仕事を積み重ねてきた大会長からは、研究実績だけでなく、若い頃の考えや苦労、転機など、現在に至るまでの経緯が語られることも少なくありません。そうした経験談は、これから専門や進路を選ぶ若手医師にとって、貴重なキャリアの教材になると思います。今年は講演日時が互いに重ならないように調整しましたので、できるだけ多くの講演に足を運び、5人の大会長のさまざまな歩みから、自分の将来を考えるヒントを見つけていただきたいと思います。

――最後に、参加者へのメッセージをお願いします。

 現地での発表や討論への参加、異なる専門領域の医師との交流は、貴重な経験や新たな気付きにつながります。現地参加が難しい場合も、オンラインを通じて多彩な講演に触れることができます。JDDWは、先端的な知識や技術を学ぶだけの場ではなく、国や地域、診療科、世代を超えて人がつながり、次の消化器病診療を担う人材が育つ場でもあります。JDDW 2026への参加を通じ、若い方には自分が進むべき道の手がかりを得て、新たな一歩を踏み出してほしいと思います。また、中堅やベテランの方には、ぜひ若手を誘って会場を訪れ、ともに学ぶ機会を次の世代に広げていただきたいです。

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