ドンペリドンの重大な副作用に不整脈追加

オランザピンは抗がん薬の制吐時に糖尿病禁忌を解除

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 厚生労働省は昨日(8月25日)付で医薬局医薬安全対策課長通知(医薬安発0825第1号)を発出。①ドパミン受容体拮抗薬のドンペリドン(商品名ナウゼリン他)およびメトクロプラミド(プリンペラン他)「重大な副作用」の項に「重篤な不整脈」を新設②多元受容体作用抗精神病薬(MARTA)オランザピン(ジプレキサ他)は「抗悪性腫瘍剤(シスプラチン等)投与に伴う消化器症状(悪心、嘔吐)」(CINV)への使用に限り「糖尿病患者・既往例」の禁忌を解除-など、添付文書の「使用上の注意」の改訂を指示した。

 

ドンペリドン・メトクロプラミド:ネステッド症例対照研究でリスク上昇が示唆

 ドンペリドンは、国内では1982年に慢性胃炎などの疾患や薬剤投与時の消化器症状(悪心・嘔吐など)を効能・効果として承認された。海外では静注製剤も販売されていたが、投与後の心臓突然死症例が報告されたことを受け、欧州では1985年以降、静注製剤の製造販売承認が取り消された。2012年には、オーストラリア保健・高齢化省が心室性不整脈・心停止リスクに関する注意喚起を行っている(関連記事「豪でドンペリドンの心室性不整脈・心停止リスクに関する注意喚起」)。日本では、心疾患患者においてQT延長などの不整脈が現れる恐れがある旨の注意喚起をしてきた。

 ドンペリドンの不整脈関連事象のリスクを評価した海外研究では、不整脈・心臓突然死のリスク上昇との関連を示唆する報告がある一方、関連を示唆しないとの報告もある。日本人集団を対象とした研究はなかったことから、医薬品医療機器総合機構(PMDA)は今回、同薬および同種同効薬であるメトクロプラミドについて、匿名医療保険等関連情報データベース(NDB)を用いて致死性不整脈イベント発現のリスク評価を実施した。

 2012~23年度にドンペリドンとメトクロプラミドの経口薬を処方され、20歳以上で悪性腫瘍、パーキンソン病または遺伝性不整脈の既往がない1,936万1,211例を対象にネステッド症例対照研究を行った。その結果、両薬の使用と重篤な不整脈との関連が示唆された。専門委員の意見も聴取した上で、使用上の注意を改訂することが適切と判断した。

●改訂の概要

重要な基本的注意」を新設し、「心室頻拍・心室細動などの重篤な不整脈」に関する注意喚起を追記

重大な副作用」の項に「重篤な不整脈」を新設

オランザピン:海外添付文書、ガイドラインの記載などに基づき禁忌解除

 オランザピンは、国内では統合失調症治療薬として2000年12月に承認された。CINVについては、日本緩和医療学会と日本消化器病学会の開発要望に基づく公知申請により承認された。しかし、2001年6月の発売開始後約10カ月間に、同薬との因果関係が否定できない重篤な高血糖、糖尿病性ケトアシドーシス(DKA)、糖尿病性昏睡の副作用症例が複数報告されたことから、禁忌の項に「糖尿病の患者、糖尿病の既往歴のある患者」が追加された(関連記事「第2世代抗精神病薬の糖代謝異常,非肥満者でも要注意」)。

 今回、日本癌治療学会からの要望を受け、PMDAが禁忌解除の可否を検討した。その結果、海外添付文書の検討では、CINVへの適応はないものの糖尿病患者・既往例を禁忌としているものはなかった。海外学会・組織の診療ガイドラインについても、同薬の安全性や高血糖など糖代謝系の有害事象および糖尿病患者への投与に関する記載は確認できなかった。文献検索や副作用報告なども踏まえ、血糖コントロールが良好な患者に限り、血糖値の頻回なモニタリングや救急時に対応できる体制の整備などを行うことを前提に、CINVへの投与時には禁忌を削除して差し支えないと判断した。

 ただし、「統合失調症、双極性障害における躁症状及びうつ症状の改善」での使用時は、引き続き禁忌とする。

葛根湯:因果関係が否定できない多形紅斑が4例集積

 漢方薬の葛根湯〔商品名ツムラ葛根湯エキス顆粒(医療用)他〕については、多形紅斑症例を評価したところ、国内症例が6例(因果関係を否定できない症例4例)集積した。専門委員の意見も踏まえ、使用上の注意を改訂することが妥当と判断。「重大な副作用」の項を新設し、「多形紅斑」を追記した。

 一般用医薬品の葛根湯含有製剤についても、「相談すること」の項に「多形紅斑」に関する記載を新設した。

ICI:ぶどう膜炎、血球貪食性リンパ組織球症、重度の食道炎を追記

 免疫チェックポイント阻害薬(ICI)については、以下の改訂が行われた。

●PD-L1阻害薬のアベルマブ(商品名バベンチオ)、アテゾリズマブ(テセントリク)、デュルバルマブ(イミフィンジ)、CTLA-4阻害薬トレメリムマブ(イジュド)重大な副作用」の項に「ぶどう膜炎

●PD-1阻害薬のチスレリズマブ(テビムブラ)、レチファンリマブ(ジニイズ)、PD-L1阻害薬のアベルマブデュルバルマブCTLA-4阻害薬のイピリムマブ(ヤーボイ)、トレメリムマブ:重大な副作用」の項に「血球貪食性リンパ組織球症

●PD-1阻害薬ニボルマブ(オプジーボ)、イピリムマブ:重大な副作用」の項に「重度の食道炎」を追記

 この他、抗アンドロゲン薬のアパルタミド(商品名アーリーダ)は「無顆粒球症好中球減少症白血球減少症」を、光線力学的療法用剤タラポルフィン(レザフィリン)は「化学放射線療法又は放射線療法後の局所遺残再発食道癌」への使用時に「食道狭窄食道穿孔」を「重大な副作用」の項に追記することなどが指示された。

 詳細は、厚労省の「医薬安発0825第1号」を参照されたい。

編集部・関根雄人

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