アブレーション後の致死性不整脈、学会が注意喚起

国内の発生頻度約0.1%

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 日本不整脈心電学会(JHRS)は9月11日、心房細動に対するパルスフィールドアブレーション(PFA)施行後に心室細動(VF)などの致死性不整脈が発生する症例が国内外で報告されているとして、注意喚起を発出した。発生頻度は低いものの重篤な転帰につながり得るとして、治療チーム内でのリスク共有や適切な術後モニタリング、発生時の迅速な対応体制の整備などを求めている。

発生機序や危険因子は未解明

 PFAは高電圧の短時間パルスによって心筋細胞に不可逆的な電気穿孔を生じさせる心房細動のカテーテルアブレーション治療で、国内でも急速に普及している。

 一方、JHRSによると、近年はPFA施行後にVFなどの致死性不整脈を発症する症例が国内外から報告されている。JHRSが実施したアンケート調査によると、国内での発生頻度は約0.1%だったが、現時点で発生機序や危険因子は十分には解明されていない。

 そこでJHRSは、①致死性不整脈発生の可能性を治療チームで共有する②発生時の迅速な対応体制を確認する③過剰なPFA送出を避ける−の3点を提示した。治療中および術後早期にはST変化に注意するとともに、治療終了後に致死性不整脈が生じる可能性も考慮し、適切なモニタリングを行うよう求めている。

致死性不整脈発生時は冠動脈攣縮も念頭に

 致死性不整脈が発生した場合には、速やかな心肺蘇生と除細動、原因検索・治療を実施する。冠動脈攣縮などの関与も念頭に、必要に応じて冠動脈造影や冠拡張薬の使用を検討するよう求めた。また、通常の蘇生処置で循環動態を維持できない場合には、VA-ECMOを含む機械的循環補助の早期導入も考慮し、緊急時に迅速に対応できる体制を各施設であらかじめ確認するよう促している。

 PFAの送出回数と致死性不整脈との因果関係については、現時点で明らかではない。一方、多数回の治療が行われた症例で重篤な事象が報告されていることから、各PFAシステムの添付文書と推奨される使用方法を遵守し、過剰な治療を避けるよう注意を呼びかけた。特に肺静脈隔離以外の追加治療については、必要性を十分に検討するよう求めている。

2025年にはPFA関連合併症でも注意喚起

 JHRSは2025年4月10日にも、PFA施行時の合併症について注意喚起している。当時、理事およびカテーテルアブレーション委員会委員が所属する高度専門施設約30施設の協力を得て調査を実施。その結果、空気塞栓症や脳梗塞、冠動脈攣縮症が確認され、塞栓症と冠動脈攣縮症について、一過性の軽症例を含め「まれではあるものの当初の想定を上回る頻度」で報告されたとしていた。

 空気塞栓症対策として呼吸管理の徹底、不要なカテーテルの出し入れの回避、十分なフラッシュの実施を推奨。冠動脈攣縮については、特に三尖弁輪峡部および僧帽弁輪峡部へのPFAはリスクが高く、いずれも適応外使用に当たることから、JHRSとしては「基本的には推奨しない」としていた。

 今回の注意喚起では、新たに致死性不整脈について国内での発生頻度を約0.1%と示し、治療中だけでなく術後の監視、発生時の蘇生・循環補助体制、PFAの過剰な送出回避まで具体的な安全対策を示した。JHRSは、PFAは心房細動に対する有効な治療法だが新しい治療法であり、今後も安全性情報の集積が必要として、同様の重篤事象を経験した場合にはカテーテルアブレーション委員会への情報提供を求めている。

編集部・長谷川愛子

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