薬剤師のための皮膚科処方箋/ステロイドと保湿剤の重層塗布
研究所所長(監修)だんの皮フ科クリニック 段野 貴一郎
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処方箋からわかることは...?
疾患
- 広範囲に乾燥皮膚(皮脂欠乏症)があり、部分的に湿疹病変(皮脂欠乏性湿疹)が見られる
処方意図
- 保湿剤は乾燥皮膚全体に塗布させたい
- ステロイドは湿疹病変のみに用いたい
- 混合処方はしたくない(不必要なところにもステロイドを塗ってしまうから)
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プロペト®とボアラ®軟膏0.12%の要点
薬剤:プロペト®
- 油脂性保湿剤(高精製ワセリン)
- [同等品] 白色ワセリン、プラスチベース
薬剤:ボアラ®軟膏0.12%
- 一般名:デキサメタゾン吉草酸エステル
- strongランクのステロイド外用薬
- [同ランク品]エクラー® 、プロパデルム®など
用法
- 症状の程度によって、1日1~2回
その他のポイント
- プロペト®は、湿疹病変を含め乾燥皮膚全体に塗布
- ボアラ®は、湿疹病変のみに重ね塗る(重層塗布)
患者さんにこうやって伝えよう!
- 保湿剤とステロイド軟膏が処方されています
- まず、保湿剤を湿疹病変を含め乾燥している皮膚全体に塗ってください
- つぎに、ステロイドを湿疹病変にのみ保湿剤の上から重ねて塗ってください
- 順番を間違えても大きな問題はありません
Dr.Dannoのコレは覚えておきたい!
重層塗布の方法と応用
重層塗布には3つの方法があります※
- 外用剤A、Bを重ねて患部に直接塗布する
- 外用剤Aを患部に直接塗布し、外用剤Bをガーゼに延ばして被覆する〈下写真参照〉
- 外用剤A、Bを重ねてガーゼに延ばし、患部を被覆する
※2、3の方法(重層塗布+ガーゼ被覆)を、重層貼付と呼ぶ場合もあります
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重層塗布法は、いろいろな状況に応用できます。
- ステロイド+保湿剤............... 湿疹病変と乾燥皮膚が混ざっている場合
- ステロイド+角質軟化剤......... 湿疹病変と過角化病変が混ざっている場合
- ステロイド+亜鉛華軟膏......... 滲出液を伴う高度の急性病変(接触皮膚炎、貨幣状湿疹、虫刺症など)
- ステロイド+アズノール®軟膏... 発赤・腫脹を伴う高度の急性病変(接触皮膚炎、虫刺症、日焼け、紅斑、第Ⅰ度熱傷の早期など)
外用薬について患者さんに聞かれたら...こんな風に答えてみてはいかがでしょうか。
Q 軟膏はべとつくので、いやなのですが...
A 少量を丁寧に延ばして塗れば、べとつきを抑えられます。
- この(油脂性)軟膏は指に取るとべとつく感じがしますが、乾燥肌には最も効果的です。皮膚の保護作用、保湿作用はクリーム剤より優れています。また、刺激感も少なく安全です。塗ってみてべとつくのは、塗る量が多いからです。しっとり感が得られる程度で十分です。
Q 塗布する回数は大切ですか?
A とても大切です。指示された塗布回数を守らなければ、期待した効果は得られなくなってしまいます。
- 塗布回数は外用剤の使用目的と症状の程度によって決まります。通常、保湿剤は1日2回、ステロイドは症状によって1日1~2回と指示されることが多いです。指示された塗布回数を守り、症状の経過をみてもらってください。
前回の「ステロイド外用薬の副作用を心配する患者への対応」はこちら
次回の「ステロイドと角質軟化剤の重層塗布」はこちら
[PharmaTribune 2012年9月号掲載]

監修者 ● 段野貴一郎 日本皮膚科学会認定皮膚科専門医
皮膚科からの患者さんに「このステロイドって強いの?体に悪くない?」と突然相談されて、答えに困ってしまったことはありませんか?ステロイド外用剤による治療は、薬の適切な使用がなにより大切。患者さんに尋ねられた時の薬剤師の対応が、その後の服薬コンプライアンスを左右するといっても過言ではありません。「皮膚科処方箋研究所」では、皮膚科処方箋の読み解き方と外用剤の服薬指導を経験豊富な皮膚科専門医がお教えします。
【略歴】
1975 年 京都大学医学部卒業
1977 年 カリフォルニア大学留学
1984 年 京都大学医学部皮膚科講師
1987 年 天理よろづ相談所病院皮膚科部長
1992 年 滋賀医科大学皮膚科准教授
2008 年 滋賀県栗東市にてだんの皮フ科クリニック」開院
皮膚科の薬剤をもっと学びたい人に・・・
ここがツボ!患者に伝える皮膚外用剤の使い方 改訂2版
著 段野貴一郎(だんの皮フ科クリニック)
B5判・148頁 定価(本体3,400円+税) ISBN978-4-7653-1569-2
http://www.kinpodo-pub.co.jp/shosai/e1811-1569-2.html

保湿剤、ステロイド、免疫抑制外用剤・・・さまざまな処方箋を例に、段野医師が処方意図の読み方と服薬指導のコツを解説します。処方鑑査のポイントや外用剤の製剤特性など、薬剤師であれば知っておきたい外用剤の基礎知識を、わかりやすく紹介。読んだ次の日から実践できる、即戦力の一冊です。
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