アジスロマイシンの復権か?
研究の背景1:アジスロマイシンにはいろいろ問題あり
日本ではマクロライド系抗菌薬(クラリスロマイシンやアジスロマイシンなど)の人気は高く、たくさん使われている。しかし、アジスロマイシン、そんなにバンバン使っちゃっていいのか?
懸念材料は幾つかある。まずは安全性。なんとなく日本ではマクロライド安全~♪、使いやすい~♪という印象があるが、印象で医療をやると案外、危ない。QT延長症候群という副作用がマクロライドにあることは以前から知られていたが、アジスロマイシンの使用は非使用者と比べると心臓血管死が増えるというスタディーが出て、「マクロライド安全伝説」は都市伝説なのではないか、という疑念が強まったのである1)。メタ分析では、特に高齢者で死亡リスクが高いと確認された2)。
- 1)Ray WA et al. Azithromycin and the Risk of Cardiovascular Death. New England Journal of Medicine. 2012 17;366(20):1881-90
- 2)Bin Abdulhak AA et al. Azithromycin and Risk of Cardiovascular Death: A Meta-Analytic Review of Observational Studies. Am J Ther. 2015 Oct;22(5):e122-129
薬剤耐性も問題だ。マクロライドが選択されやすいMycoplasma pneumoniaeによる肺炎。大多数は耐性化しており、マクロライドは選択肢としにくくなっている3)。厚生労働省院内感染対策サーベイランス事業(JANIS)によると、肺炎球菌ではマクロライド感受性菌はわずか6%しかなかった(2014年)。
安全性と有効性に大きな問題があるマクロライドは案外使いにくい。では、この抗菌薬はこのまま滅びゆく運命にあるのだろうか。
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岩田 健太郎(いわた けんたろう)

1971年、島根県生まれ。島根医科大学卒業後、沖縄県立中部病院、コロンビア大学セントルークス・ルーズベルト病院、アルバートアインシュタイン医科大学ベスイスラエル・メディカルセンター、北京インターナショナルSOSクリニック、亀田総合病院を経て、2008年より神戸大学大学院医学研究科教授(微生物感染症学講座感染治療学分野)・神戸大学医学部付属病院感染症内科診療科長。 著書に『悪魔の味方 — 米国医療の現場から』『感染症は実在しない — 構造構成的感染症学』など、編著に『診断のゲシュタルトとデギュスタシオン』『医療につける薬 — 内田樹・鷲田清一に聞く』など多数。










