特発性肺線維症の"革新的医薬品"
PBI-4050への期待
研究の背景:抗線維化薬だけでは物足りない
特発性肺線維症(IPF)に対する抗線維化薬として、現在用いられているのがピルフェニドン(商品名ピレスパ)とニンテダニブ(同オフェブ)である。いずれも52週時点の努力性肺活量減少を抑制するエビデンスが示されており(N Engl J Med 2014; 370:2083-2092、N Engl J Med 2014; 370:2071-2082)、近年ではピルフェニドンはプラセボと比較して120週におよぶ死亡率の相対リスクを減少させること(Lancet Respir Med 2017;5:33-41)や、呼吸器系の入院リスクや入院後死亡リスクを低下させること(Am J Respir Crit Care Med 2017;196:756-761)が報告されている(関連記事「特発性肺線維症のベスト治療は何か」)。光線過敏症や下痢などの副作用はあるものの、現状、IPFに対して使わない理由はない。
また、ピルフェニドンとニンテダニブを併用するという案も出ている。今のところ安全性に大きな懸念はなさそうだが(Am J Respir Crit Care Med 2018;197:356-363、Eur Respir J 2018;52: 1800230)、長期の有効性や安全性は大規模臨床試験でまだ示されていない。
さて、これら抗線維化薬では1秒量減少に対する抑制効果は頭打ちの状態である。物足りないと感じている専門家が多いのも事実である。そこで、抗線維化薬に併用できる薬剤あるいは単独で使用できる有望な薬剤として、PBI-4050が注目されている。2017年、英国の医薬品医療製品規制庁(MHRA)がPBI-4050を有望な革新的医薬品(Promising Innovation Medicine)に指定したことが、間質性肺疾患の専門家の間で話題となった。IPF治療において、PBI-4050が実用化される見通しがさらに高まったといえよう。
PBI-4050は、3-ペンチルベンゼン酢酸ナトリウム塩である。この物質は、中鎖脂肪酸によって活性化されるGPR40、GPR84などの受容体を介して線維化を抑制することが示されている(JCI Insight 2018;3: 120365)。単剤でも有効とされているが、IPFに対する抗線維化薬との併用を主眼に研究が進められている。
今回、PBI-4050単剤、PBI-4050+ニンテダニブ、PBI-4050+ピルフェニドンの第Ⅱ相試験結果が論文化されたので紹介したい(Eur Respir J 2018年12月21日オンライン版)。
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倉原 優 (くらはら ゆう)
国立病院機構近畿中央呼吸器センター内科医師。2006年、滋賀医科大学卒業。洛和会音羽病院での初期研修を修了後、2008年から現職。日本呼吸器学会呼吸器専門医、日本感染症学会感染症専門医、インフェクションコントロールドクター、音楽療法士。自身のブログで論文の和訳やエッセイを執筆(ブログ「呼吸器内科医」)。著書に『呼吸器の薬の考え方、使い方』、『COPDの教科書』、『気管支喘息バイブル』、『ねころんで読める呼吸』シリーズ、『本当にあった医学論文』シリーズ、『ポケット呼吸器診療』(毎年改訂)など。










