軽症喘息にはシムビコート一択か
研究の背景:軽症喘息の臨床試験は乏しい
喘息の臨床試験といえば、最近は重症喘息のものばかりであり、生物学的製剤に目が行きがちな現状がある。しかし、プライマリケアで遭遇する喘息は軽症~中等症であり、実臨床に根差したデータが欲しいというアンメットニーズがある。
ここで軽症喘息(mild asthma)とは何か定義を明確にしておこう。最新のGINA(Global Initiative for Asthma)ガイドラインでは、ステップ1~2相当と定義されている。注意したいのは、日本のガイドライン(『喘息予防・管理ガイドライン2018』)におけるステップとは異なり、米国の治療ステップは5段階に分けられていることである。GINAのステップ1~2というのは、日本の治療ステップ1に相当し、基本的に定期的な吸入ステロイド(ICS)/長時間作用性β2刺激薬(LABA)配合剤が不要な状態を指す。
現在のGINAガイドラインでは、ステップ1はICS/LABA配合剤であるブデソニド/ホルモテロール(商品名シムビコート)の頓用あるいはICS定期が推奨され、ステップ2ではさらにロイコトリエン受容体拮抗薬がオプションに加わる。発作時の治療はいずれもシムビコート頓用あるいは短時間作用性β2刺激薬(SABA)頓用となる。
SMART(Symbicort Maintenance and Reliever Therapy)療法という用語があるが、これはシムビコートを維持療法と発作時治療の両方で用いるものであり、今回の論文を読むに当たり、SMART療法の概要については知っておく必要がある。
SMART療法(Thorax 2010;65: 747-752)
発作時にシムビコートを1回追加吸入すること。ただし、定期吸入と合計して1 日8 吸入を超えないようにする。一時的に1 日合計12 吸入まで増量可能
・定期吸入が1 日2 吸入の場合:発作時6 吸入まで(合計8 吸入まで可能)
・定期吸入が1 日4 吸入の場合:発作時4 吸入まで(合計8 吸入まで可能)
低用量であってもICSを全く定期導入しなくてもよい喘息患者というのは確かに存在するのだが、このフェーズは非常に診断が難しい。発作を起こしてある程度発作時治療が必要になるGINA治療ステップ3以上、日本の治療ステップ2以上の患者が多数を占める。もっと診断の裾野が広がって、あらゆる呼吸器症状に対して気道過敏性検査や気道可逆性検査が実施できればよいのだが。
今回紹介するのは、軽症喘息におけるシムビコートでの管理がいかに有効かということを示したものである(N Engl J Med 2019年5月19日オンライン版)。なお、この研究はアストラゼネカの資金提供を受けている点に注意したい。
全文を読むにはログインが必要です
ログインして全文を読む
無料でいますぐ
会員登録を行う
- ご利用無料、14.5万人の医師が利用
- 医学・医療の最新ニュースを毎日お届け
- ギフト券に交換可能なポイントプログラム
- 独自の特集・連載、学会レポートなど充実のコンテンツ
\ 60秒でかんたん登録 /
会員登録
倉原 優 (くらはら ゆう)
国立病院機構近畿中央呼吸器センター内科医師。2006年、滋賀医科大学卒業。洛和会音羽病院での初期研修を修了後、2008年から現職。日本呼吸器学会呼吸器専門医、日本感染症学会感染症専門医、インフェクションコントロールドクター、音楽療法士。自身のブログで論文の和訳やエッセイを執筆(ブログ「呼吸器内科医」)。著書に『呼吸器の薬の考え方、使い方』、『COPDの教科書』、『気管支喘息バイブル』、『ねころんで読める呼吸』シリーズ、『本当にあった医学論文』シリーズ、『ポケット呼吸器診療』(毎年改訂)など。










