重症患者に去痰薬は効くのか

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研究の背景:多種多様な薬剤が存在、その有効性は?

 去痰薬といっても、喀痰のキレが悪い慢性期呼吸器疾患の患者に処方するものから、ネブライザーで急性期に吸入するものまで、さまざまなものがある。痰を取り去るもの以外の薬剤も含めるため、「喀痰調整薬」や「粘液活性物質」などと呼ぶ方がよいのだが、便宜的にここでは「去痰薬」で統一させていただく。

 無数、とまでは言わないが多種多様な去痰薬が存在するため、ここで扱うのは、ヘパリンネブライザー、N-アセチルシステイン(NAC)、アンブロキソールであることを先に書いておく必要がある。日本ではヘパリンを去痰薬として用いるプラクティスは残念ながらない。また、カルボシステインなど、日本の臨床でよく用いられている経口去痰薬は今回組み込まれていない。

 NACは、特発性肺線維症(IPF)などでも多用される、ネブライザーで吸入する去痰薬である。海外では経口薬が存在するが、日本ではムコフィリンという袋に入った液体で販売されている。アンブロキソールは経口薬の中では最も多く処方されるものの1つであり、私も外来でよく処方している。

 重症例において、去痰薬がプラセボと比較して効果を発揮するのかどうか、過去の臨床研究を集めてシステマチックレビューおよびメタ解析を行ったのが今回の報告である(Thorax 2020;75:623-631)。

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