気管支拡張症にCOPD治療薬は有効なのか
研究の背景:COPD治療薬は呼吸器内科で広く使われているが...
厳密に慢性閉塞性肺疾患(COPD)の基準を満たしていなくても、問診などからCOPDと診断して吸入薬が用いられている事例は全国で数多く存在するだろう。コロナ禍においては、COPDは適切な時期にスパイロメトリーが実施できれば、初期診療において経験的な対応も可能とされている(日本呼吸器学会「COVID-19流行期日常診療におけるCOPDの作業診断と管理手順」)。
しかし、気管支拡張症に対しても、なんとなくCOPD治療薬である吸入ステロイド薬(ICS)、吸入長時間作用性β2刺激薬(LABA)、吸入長時間作用性抗コリン薬(LAMA)を処方している医師もいると思う。
ICSは特に処方閾値を下げないように注意したい。というのも、気管支拡張症の患者にICSを処方することで、緑膿菌などの細菌の定着を招いてしまうリスクがあるためだ。これにより、喀痰症状の増悪や、ひどい場合、呼吸器系の増悪を何度も繰り返すことになる。
デンマークで行われた前向きコホート研究によると、気管支拡張症患者のうち、ICSが処方されている人とICSが処方されていない人を比較したところ、ICSを処方されている人の方が緑膿菌の保菌頻度が高く(20% vs 6.5%、P=0.01)、高用量ICSの場合、死亡リスクの上昇にも関連していることが示された(ハザード比4.93、95%CI 1.73~14.0、P=0.003、Int J Chron Obstruct Pulmon Dis 2021; 16: 2119-2127)。
LAMAについてはどうだろうか。実はまだ議論の余地がある。韓国の症例対照研究では、短時間作用性・長時間作用性を問わず、抗コリン薬は気管支拡張症の血痰のリスクを上昇させたと報告されているためである(Respirology 2015; 20: 1213-21)。
今回紹介するのは、気管支拡張症に対するLAMAの有効性と安全性を検証したランダム化比較試験(RCT)である(Eur Respir J 2021年11月18日オンライン版)。
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倉原 優 (くらはら ゆう)
国立病院機構近畿中央呼吸器センター内科医師。2006年、滋賀医科大学卒業。洛和会音羽病院での初期研修を修了後、2008年から現職。日本呼吸器学会呼吸器専門医、日本感染症学会感染症専門医、インフェクションコントロールドクター、音楽療法士。自身のブログで論文の和訳やエッセイを執筆(ブログ「呼吸器内科医」)。著書に『呼吸器の薬の考え方、使い方』、『COPDの教科書』、『気管支喘息バイブル』、『ねころんで読める呼吸』シリーズ、『本当にあった医学論文』シリーズ、『ポケット呼吸器診療』(毎年改訂)など。










